FP1級過去問題 2025年9月学科試験 問15
問15
事業活動に係る各種損害保険の一般的な商品性に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、特約については考慮しないものとする。
- 家電修理業者が生産物賠償責任保険(PL保険)に加入することで、顧客から預かったテレビを修理中に誤って損壊させ、修復不能にした場合など、仕事の結果が原因となり、他人の身体や財物に損害を与えたことによる賠償責任に備えることができる。
 - 金属部品製造業者が機械保険に加入することで、従業員の誤操作等によって機械設備に不測かつ突発的な事故が生じて近隣の建物を損壊させた場合など、仕事の遂行が原因となり、他人の身体や財物に損害を与えたことによる賠償責任に備えることができる。
 - 建設業者が請負業者賠償責任保険に加入することで、請け負った工事の現場に設置した資材置場の管理ミスによって材木が倒れ、通行人がケガをした場合など、仕事の遂行に用いるための施設が原因となり、他人の身体や財物に損害を与えたことによる賠償責任に備えることができる。
 - 会社役員賠償責任保険(D&O保険)に加入することで、被保険者である会社役員が業務の遂行に起因して損害賠償請求を受けた場合に、判決に基づく損害賠償金や和解金のほか、罰金や課徴金等を支払うことによって被る損害に備えることができる。
 
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正解 3
分野
科目:B.リスク管理細目:6.リスク管理と保険
解説
- 不適切。他人から預かった物品を修理する仕事は請負契約に当たるため、製造業者等向けの生産物賠償責任保険(PL保険)では補償されません。この場合には、請負業者賠償責任保険に加入するのが適切です。生産物賠償責任保険(PL保険)に加入することで、販売した弁当により食中毒が発生するなど、製造・販売した製品(生産物)や行った仕事の結果が原因となり、他人の生命、身体、財物に損害を与えたことによる賠償責任に備えることができる。(2024.1-15-3)
 - 不適切。機械保険は、物理的原因による破裂・爆発等の偶然な事故によって機械設備が被る損害を補償する保険です。対人や対物は補償されません。機械設備の管理や機械設備の用法に伴う仕事の遂行によって、他人に損害を与えたことによる賠償責任に備えるには、施設所有(管理)者賠償責任保険が適しています。機械保険に加入することで、従業員の誤操作等によって機械設備に不測かつ突発的な事故が生じて建物を損壊させるなど、機械設備の管理や機械設備の用法に伴う仕事の遂行が原因となり、他人の生命、身体、財物に損害を与えたことによる賠償責任に備えることができる。(2024.1-15-4)
 - [適切]。請負業者賠償責任保険は、請負業者による工事・作業等の遂行または管理を原因とする事故により、他人の身体・生命・財物に損害を与えたことによる法律上の損害賠償責任を補償する保険です。施設所有(管理)者賠償責任保険に加入することで、空調設備から落ちた水を放置したため来客が転倒してケガをするなど、施設の管理や施設の用法に伴う仕事の遂行が原因となり、他人の生命、身体、財物に損害を与えたことによる賠償責任に備えることができる。(2024.1-15-2)
 - 不適切。D&O保険で補償されるのは、裁判の判決で命じられた損害賠償金や和解金といった法律上の賠償金や、訴訟や争訟に要した費用に限られます。罰金や課徴金、懲罰的損害賠償金などは対象外です。これら公法上の制裁金を補償する契約は、公序良俗に反するおそれがあるためです。会社役員賠償責任保険は、被保険者である会社役員が役員の業務の遂行に起因して保険期間中に損害賠償請求を受けた場合に、法律上の損害賠償責任を負うことによって被る損害に備えることができる。(2022.9-15-1)
 
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