FP1級 2026年5月学科試験 問37

問37

高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者住まい法)における終身建物賃貸借に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。
  1. 終身建物賃貸借は、賃借人の死亡に至るまで存続し、かつ、賃借人が死亡した時に終了する建物の賃貸借であり、その賃貸借契約は公正証書によってしなければならない。
  2. 終身建物賃貸借契約において、賃貸借期間中は建物の借賃を減額しない旨の特約をした場合、その特約は有効となる。
  3. 終身建物賃貸借契約において、賃借人となることができるのは、自ら居住するために住宅を必要とする70歳以上の者であって、単身者または同居人が配偶者や70歳以上の親族である者に限られる。
  4. 終身建物賃貸借契約において、賃借人は、老人ホームへの入所により賃貸住宅に居住することが困難となった場合や親族と同居するために賃貸住宅に居住する必要がなくなった場合であっても、当該契約を解約することはできない。

正解 2

解説

  1. 不適切。終身建物賃貸借とは、公正証書による等書面(電磁的記録を含む)によって契約をする建物の賃貸借であって、賃借人の死亡に至るまで存続し、かつ、賃借人が死亡した時に終了するものをいいます。書面で契約することが要件であり、公正証書による契約までは求められていません(高齢者住まい法52条)。
  2. [適切]。終身建物賃貸借契約で、借賃の改定について定めている場合には、借賃増減請求権に関する規定は適用されません。このため、普通借家契約では無効である「賃料を減額しない特約」も、終身建物賃貸借契約では有効に定めることができます(高齢者住まい法64条)。
    普通借家契約において、賃借人が建物に付加した造作について賃貸借期間満了時に賃貸人に対して買取りを請求しない旨の特約をした場合、その特約は無効となる。2025.9-36-1
    定期建物賃貸借契約において、その賃料が近傍同種の建物の賃料に比較して不相当となっても、賃貸借期間中は賃料の増減額をしない旨の特約をした場合、その特約は無効となる。2025.1-36-2
  3. 不適切。70歳ではありません。終身建物賃貸借の賃借人となることができるのは、自ら居住するため住宅を必要とする60歳以上の高齢者とその者と同居する配偶者です(高齢者住まい法52条)。
  4. 不適切。終身建物賃貸借の期間中であっても、以下のいずれかに該当した場合には、賃借人は解約を申し出ることができます。この場合、解約の申入れから1か月後(❹は設定日)に契約は終了します(高齢者住まい法60条)。
    1. 療養・老人ホームへの入所その他のやむを得ない事情により、賃借人が認可住宅に居住することが困難となったとき
    2. 親族と同居するため、賃借人が認可住宅に居住する必要がなくなったとき
    3. 認可事業者が、認可住宅の管理不適合に関する命令に違反したとき
    4. 解約日が、解約申入れの日から6か月以上を経過した日に設定されているとき
したがって適切な記述は[2]です。
【参考】書面での契約、借賃減額できない旨も有効、一定事由のときは賃借人が解約申入れできる、といった特徴は定期借家契約と同様の取扱いです。