FP1級過去問題 2025年9月学科試験 問36
問36
借地借家法に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、本問においては、借地借家法における定期建物賃貸借契約を定期借家契約といい、それ以外の建物賃貸借契約を普通借家契約という。また、記載のない事項については考慮しないものとする。
- 普通借家契約において、賃借人が建物に付加した造作について賃貸借期間満了時に賃貸人に対して買取りを請求しない旨の特約をした場合、その特約は無効となる。
- 普通借家契約において、その賃料が近傍同種の建物の賃料に比較して不相当となっても、賃貸借期間中は賃料の増額をしない旨の特約をした場合、その特約は有効となる。
- 定期借家契約は、契約の更新がなく、期間の満了により建物の賃貸借は終了するが、当事者間で合意すれば、同一の建物について定期借家契約を再契約することができる。
- 定期借家契約の期間が2年である場合に、賃貸人が期間の満了の10カ月前に、賃借人に対し、期間の満了により建物の賃貸借が終了する旨の通知をしたときは、その終了を賃借人に対抗することができる。
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正解 1
分野
科目:E.不動産細目:2.不動産の取引
解説
- [不適切]。建物の賃貸人の同意を得て建物に付加した畳、建具その他の造作物は、建物の賃貸借が終了するときに、賃借人から賃貸人に対して時価での買取りを請求できます。造作買取請求権は、普通借家契約・定期借家契約のいずれにおいても任意規定のため、特約で排除することが可能です(借地借家法33条)。
- 適切。普通借家契約では、賃料を増額しない旨の特約をすることが明文で認められています(借主保護になるため)。一方でその反対解釈として、賃料を減額しない特約は無効とされます(借地借家法32条1項)。
定期建物賃貸借契約において、その賃料が近傍同種の建物の賃料に比較して不相当となっても、賃貸借期間中は賃料の増減額をしない旨の特約をした場合、その特約は無効となる。(2025.1-36-2) - 適切。定期借家契約は、期間満了とともに終了するため更新はできませんが、当事者同士が合意すれば再契約(改めて新しい契約を締結)することはできます。定期建物賃貸借契約は、契約の更新がなく、期間の満了により建物の賃貸借は終了するが、賃貸借について当事者間で合意すれば、定期建物賃貸借契約を再契約することができる。(2022.5-36-3)定期借家契約は、契約の更新がなく、期間の満了により建物の賃貸借は終了するが、賃貸借について当事者間で合意すれば、定期借家契約を再契約することができる。(2021.9-35-3)
- 適切。契約期間が1年以上の定期借家契約では、貸主は、期間満了の1年前から6カ月前までの間に、借主に対して賃貸借が終了する旨の通知をしなければなりません(借地借家法38条6項)。期間満了の10カ月前は上記の通知期間内なので、満了時に終了を対抗することができます。定期建物賃貸借契約の期間が2年である場合に、賃貸人が期間の満了の10カ月前に、賃借人に対し、期間の満了により建物の賃貸借が終了する旨の通知をしたときは、その終了を賃借人に対抗することができる。(2025.1-36-3)定期建物賃貸借契約の期間が1年である場合、賃貸人が当該契約日の8カ月後に、初めて賃借人に期間の満了により建物の賃貸借が終了する旨の通知をしたときは、通知の日から4カ月経過後に契約の終了を賃借人に対抗することができる。(2023.1-35-3)定期建物賃貸借契約は、その契約期間の長短にかかわらず、賃借人に対して、期間の満了により建物の賃貸借が終了する旨の通知をする必要はなく、その期間が満了すれば、当然に建物の賃貸借は終了し、賃借人は退去しなければならない。(2022.1-35-3)定期借家契約においては、賃貸借期間の満了により契約は確定的に終了するため、原則として、賃貸人は、期間満了前に賃借人に対して、期間満了により契約が終了する旨の通知をする必要はない。(2014.1-41-4)
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