保険制度全般(全37問中1問目)

No.1

保険法に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
2024年9月試験 問9
  1. 保険契約者または被保険者になる者は、生命保険契約の締結に際し、保険事故の発生の可能性に関する重要な事項について、自発的に判断して保険者に対して申告しなければならないとされている。
  2. 生命保険契約において、保険金受取人は、保険契約者との信頼関係が損なわれるような重大な事由が生じた場合や親族関係が終了した場合に、保険契約者に対し、その保険契約を解除することを請求することができるとされている。
  3. 損害保険契約の締結時に保険金額が保険価額を超えていたことについて、保険契約者および被保険者が善意でかつ重大な過失がなかった場合、保険契約者は、原則として、その保険契約の全部について取り消すことができるとされている。
  4. 保険契約者または被保険者の告知義務違反による保険者の保険契約の解除権は、保険者が解除の原因があることを知った時から1カ月間行使しないとき、または保険契約の締結時から5年を経過したときに消滅するとされている。

正解 4

問題難易度
肢18.6%
肢227.3%
肢39.5%
肢454.6%

解説

  1. 不適切。保険法の告知義務は、保険事故の発生可能性に関する重要な事項のうち保険者が告知を求めたものに対して、事実を告知する義務です(保険法4条ほか)。2010年(平成22年)の保険法改正以前は本肢のような「自発的申告義務」でしたが、改正後は現在の「質問応答義務」に変更されています。
    生命保険の契約者または被保険者となる者は、保険事故発生の可能性等に関する重要な事項のうち、生命保険募集人が告知を求めたものについて、生命保険募集人に対して口頭で告知をすることができる。2024.5-10-2
    保険契約者または被保険者になる者は、生命保険契約の締結に際し、保険事故の発生の可能性に関する重要な事項について、自発的に判断して保険者に対して申告しなければならないとされている。2018.1-10-b
    保険契約者または被保険者になる者は、生命保険契約の締結に際し、保険事故の発生の可能性に関する重要な事項のうち保険者になる者が告知を求めたものについて、事実の告知をしなければならないとされている。2017.1-9-1
  2. 不適切。被保険者は、保険契約者または保険金受取人に対する信頼関係を損ない、保険契約の存続を困難とする重大な事由がある場合や、保険契約者との間の親族関係の終了した場合などは、保険契約者に対し、当該保険契約を解除することを請求できます(保険法58条)。しかし、保険金受取人にはこのような解除権は認められていません。
    保険金受取人は、保険契約者と信頼関係が損なわれるような重大な事由が生じた場合や親族関係が終了した場合に、保険契約者に対し、その保険契約を解除することを請求することができるとされている。2018.1-10-d
  3. 不適切。全部は取消しできません。保険金額が保険価額を超えている損害保険は、契約締結時に保険契約者と被保険者がそのことを知らず、知らなかったことにつき重大な過失がなかったときは、超過部分について取り消すことができます(保険法9条)。
    また、損害保険契約の締結後に保険価額が著しく減少し超過保険の状態になった場合、保険契約者は、保険者に対し、将来に向かって保険金額と保険料の減額を請求することができます(保険法10条)。
    損害保険の契約締結時において保険金額が保険価額を超過した部分についての保険契約は無効であるが、契約締結後に保険価額が減少して保険金額を下回った場合、保険契約者は、保険者に対し、保険金額および保険料の減額を請求することができる。2019.9-10-2
  4. [適切]。保険契約者または被保険者に告知義務違反があった場合、保険会社はそれを知った時から1カ月、または契約締結から5年のいずれか早い時期が経過するまでは契約を解除することができます(保険法28条)。請求期間が過ぎると解除権は消滅します。
    保険契約者または被保険者の告知義務違反があった場合、保険者の保険契約の解除権は、保険者が解除の原因があることを知った時から1カ月間行使しないとき、または保険契約の締結の時から5年を経過したときに消滅する。2023.1-9-4
したがって適切な記述は[4]です。