各種所得の内容(全46問中1問目)

No.1

居住者に係る所得税の配当所得に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、各選択肢において、配当を受け取ったことによる所得は配当所得に該当するものとし、記載のない事項については考慮しないものとする。
2024年9月試験 問25
  1. 非上場株式の配当は、配当を受け取った株主が有する当該非上場株式の数にかかわらず、その支払の際に、配当の金額に20.42%の税率を乗じて計算した金額に相当する税額が源泉徴収される。
  2. 同一銘柄の非上場株式の配当で、1回の配当金額が10万円で配当計算期間が6カ月であるものを年2回受け取った場合、いずれの配当についても確定申告不要制度を選択することができる。
  3. 同一年中にX社株式の配当20万円とY社株式の配当20万円を受け取り、確定申告において、それぞれの配当金額とあわせてX社株式を取得するために要した負債の利子30万円を申告した場合、配当所得の金額は20万円となる。
  4. J-REIT(上場不動産投資信託)の分配金に係る配当所得は、総合課税や申告分離課税を選択することができ、総合課税を選択した場合、配当控除の適用を受けることができる。

正解 1

問題難易度
肢156.5%
肢218.3%
肢311.1%
肢414.1%

解説

配当所得の課税関係については以下の出題ポイントを確認しておきましょう。
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  1. [適切]。「非上場株式の配当」および「大口株主等が受け取る上場株式等の配当」については、支払金額に対して20.42%(所得税+復興特別所得税)が源泉徴収されます。上場株式等の場合は受け取る者の株式保有割合によって源泉徴収方法が変わりますが、非上場株式は一律です。
    ※大口株主等以外は、所得税15%・復興特別所得税0.315%・住民税5%を合わせた20.315%の源泉徴収
    非上場株式の配当について、受け取った株主が有する当該株式数が当該発行会社の発行済株式総数の3%以上である場合、その支払の際に配当の金額に20.315%の税率を乗じて計算した金額に相当する税額が源泉徴収される。2021.1-25-1
    内国法人から支払を受ける非上場株式の配当については、受け取った株主が有する当該株式の保有割合にかかわらず、その支払の際に所得税および復興特別所得税が源泉徴収され、住民税は特別徴収されない。2019.9-25-2
    内国法人から支払を受ける非上場株式の配当については、受け取った株主が有する当該株式の保有割合にかかわらず、配当の金額に20.315%の税率を乗じて計算した金額に相当する税額が源泉(特別)徴収される。2017.9-25-2
  2. 不適切。非上場株式の配当については、少額配当(1回の配当につき年換算で10万円以下)に該当する場合を除いて総合課税として確定申告する必要があります。本肢の配当は1回につき年換算で20万円相当額なので、いずれの配当についても確定申告をする必要があります。
    同一銘柄の非上場株式の配当で、1回の配当金額が10万円で配当計算期間が6カ月であるものを年2回受け取った場合、いずれの配当についても確定申告不要制度を選択することができる。2021.1-25-2
    内国法人から支払を受ける非上場株式の配当については、原則として、1銘柄につき1回の配当金額が20万円以下であれば、受け取った株主が有する当該株式の保有割合にかかわらず、確定申告不要制度を選択することができる。2019.9-25-3
  3. 不適切。配当所得の金額は「収入金額-負債の利子」で計算します。負債の利子とは株式等を取得するために要した借入金の利子のことで、負債の利子がある場合、その額を受取配当金総額から控除することが可能です。よって、受け取った配当金の合計額「20万円+20万円=40万円」から負債の利子30万円を差し引いた10万円が配当所得の金額となります。
    同一年中にX社株式の配当金20万円とY社株式の配当金20万円を受け取り、X社株式を取得するために要した負債の利子30万円を支払った者が、当該配当について確定申告を行う場合、配当所得の金額は20万円となる。2022.9-26-3
    同一年中にX社株式の配当金20万円とY社株式の配当金20万円を受け取り、X社株式を取得するために要した負債の利子30万円(その年中におけるX社株式の所有期間に対応して計算された金額)を支払った者が、確定申告において総合課税を選択した場合、配当所得の金額は20万円となる。2016.1-26-3
  4. 不適切。J-REITの分配金は上場株式等に係る配当所得として扱われますが、総合課税で確定申告しても配当控除の適用を受けることができません。配当控除は法人税と所得税の二重課税を減ずるための措置であり、法人税が実質的に免除される不動産投資法人から受ける配当金は、二重課税に当たらないからです。
    内国法人から支払を受ける上場株式の配当について、確定申告において申告分離課税を選択した場合、配当控除の適用を受けることができる。2022.9-26-4
    ETF(上場投資信託)やJ-REIT(上場不動産投資信託)の分配金に係る配当所得は、上場株式の配当と同様に、総合課税や申告分離課税を選択することができ、総合課税を選択した場合は配当控除の適用を受けることができる。2021.1-25-4
    内国法人から支払を受ける非上場株式の配当に係る配当所得については、確定申告による総合課税を選択したとしても、配当控除の適用を受けることはできない。2017.9-25-4
    内国法人から支払を受ける上場株式の配当で、確定申告において総合課税または申告分離課税を選択した配当所得については、配当控除の適用を受けることができる。2016.1-26-4
したがって適切な記述は[1]です。