FP1級過去問題 2014年9月学科試験 問44

問44

遺言に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 遺言者が、遺言をした後に、遺言の内容に抵触する財産の生前処分を行った場合、その抵触した部分については遺言を撤回したものとみなされる。
  2. 遺言者が公正証書による遺言書を作成した場合、その遺言を自筆証書遺言により撤回することができる。
  3. 公正証書遺言を作成する場合、証人2人以上の立会いが必要であるが、遺言者の推定相続人は、この証人になることはできない。
  4. 相続人が自筆証書遺言を発見し、家庭裁判所の検認を受ける前に開封した場合、その遺言書は無効となる。

正解 4

問題難易度
肢19.3%
肢28.6%
肢37.7%
肢474.4%

解説

  1. 適切。①前の遺言が後の遺言と抵触するとき、②遺言内容に抵触する生前処分等が遺言後にあったときは、その抵触する部分については、前の遺言を撤回したものとみなされます(民法1023条)。
  2. 適切。遺言の形式に従っていれば、遺言の別を問わず、前の遺言の内容を後の遺言で撤回することができます(民法1022条)。
    公正証書遺言の遺言者が、公正証書遺言の正本を故意に破棄したときは、その破棄した部分について遺言を撤回したものとみなされる。2024.9-45-1
    公正証書遺言を作成していた遺言者が、公正証書遺言の内容に抵触する自筆証書遺言を作成した場合、その抵触する部分については、自筆証書遺言で公正証書遺言を撤回したものとみなされる。2023.1-44-3
    公正証書遺言は、原本が公証役場に保管されており、遺言者が公正証書遺言の正本を破棄したとしても、遺言を撤回したものとはみなされない。2022.5-44-4
    公正証書遺言の遺言者が、公正証書遺言の正本を故意に破棄したときは、その破棄した部分について遺言を撤回したものとみなされる。2019.1-44-3
  3. 適切。公正証書遺言を作成する場合、2人以上の証人が必要になりますが、次に掲げる者は証人になれません(民法974条)。
    • 未成年者
    • 推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族
    • 公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人
    推定相続人は遺言内容と関係が深いので証人となれません。
    公正証書遺言を作成する場合、証人2人以上の立会いが必要であるが、遺言者の推定相続人および受遺者ならびにこれらの配偶者および直系血族は、この証人になることはできない。2022.5-44-3
    公正証書遺言を作成する場合、証人2人以上の立会いが必要であるが、遺言者の兄弟姉妹は、遺言者の推定相続人または受遺者でない者等であっても、この証人になることはできない。2020.9-45-3
    公正証書遺言を作成する場合、証人2人以上の立会いが必要であるが、遺言者の推定相続人および受遺者ならびにこれらの配偶者および直系血族は、この証人になることはできない。2019.1-44-1
    公正証書遺言の作成にあたって遺言執行者を指定する場合、遺言者の推定相続人および受遺者を遺言執行者とすることはできない。2018.1-46-1
    公正証書遺言の作成時、遺言者の兄弟姉妹は、遺言者の推定相続人または受遺者でない者であっても、証人となることができない。2016.1-44-1
  4. [不適切]。自筆証書遺言および秘密証書遺言の保管者や発見者は、家庭裁判所に検認を請求し、家庭裁判所において相続人等の立会いの下、開封しなければなりません(民法1004条)。検認を怠った場合でも遺言が無効になるわけではありませんが、検認の手続きによらず遺言を開封した者は、5万円以下の過料に処されます(民法1005条)。
    ※法務局での自筆証書遺言保管制度を利用している場合を除く
    相続人が自筆証書遺言を発見し、家庭裁判所の検認を受ける前に開封した場合、その遺言は無効となる。2022.5-44-1
したがって不適切な記述は[4]です。