FP1級過去問題 2014年9月学科試験 問43(改題)

問43

相続時精算課税制度に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、各選択肢において、ほかに必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。
  1. 2024年12月31日までの間に住宅取得等資金の贈与を受ける場合、贈与者の年齢が贈与の年の1月1日において60歳未満であっても、相続時精算課税制度の適用を受けることができる。
  2. 相続時精算課税制度は、「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度(以下、本制度)」と併用して適用を受けることができるため、2024年中に住宅取得等資金3,000万円の贈与を受け、本制度の適用と併せて、相続時精算課税制度の適用を初めて受ける場合には、納付すべき贈与税額は算出されない。
  3. 2024年中に75歳の祖父から23歳の孫に現金500万円を贈与した場合、当該受贈財産について相続時精算課税制度の適用を受けることができる。
  4. 相続時精算課税制度の適用を受けていた者が、養子縁組の解消により、特定贈与者の推定相続人でなくなった場合は、養子縁組解消後にその特定贈与者であった者からの贈与により取得した財産については、相続時精算課税制度の適用を受けることができない。

正解 4

問題難易度
肢112.9%
肢29.1%
肢36.3%
肢471.7%

解説

  1. 適切。相続時精算課税の贈与者は原則60歳以上でなければなりませんが、自己の住宅の新築等の対価に充てるための金銭(住宅取得等資金)の贈与であり、一定の要件を満たすときには、贈与者がその贈与の年の1月1日において60歳未満であっても相続時精算課税を選択することができます(相続時精算課税選択の特例)。
    2024年12月31日までに贈与により住宅取得等資金を取得した場合、贈与者の年齢がその年の1月1日において60歳未満であっても、受贈者は相続時精算課税制度の適用を受けることができる。2021.9-43-1
  2. 適切。相続時精算課税制度と住宅取得等資金の贈与の特例は併用可能です。相続時精算課税制度の非課税限度額は2,500万円ですから、住宅取得等資金の贈与を組み合わせれば3,000万円以上を非課税とすることができます。
  3. 適切。相続時精算課税の適用を受けるには、贈与者は60歳以上の直系尊属、受贈者は18歳以上である贈与者の子または孫である必要があります(いずれも贈与を受けた年の1月1日において)。本肢はこの要件を満たしているので適用を受けることができます。
    2024年4月に85歳の祖父と62歳の父からそれぞれ贈与を受けた者(30歳)は、それぞれの贈与に係る財産について相続時精算課税の適用を受けることができる。2015.9-43-1
  4. [不適切]。養子縁組の解消により特定贈与者の推定相続人でなくなった場合でも、その特定贈与者からの贈与により取得した財産については、引き続き相続時精算課税が適用されます。
    養親から相続時精算課税制度を適用して贈与を受けた養子が、当該養親との養子縁組解消後に養親であった者からの贈与により取得した財産については、引き続き相続時精算課税制度が適用される。2024.9-43-4
    養親から相続時精算課税を適用して贈与を受けた養子が、養子縁組の解消により、その特定贈与者の養子でなくなった場合、養子縁組解消後にその特定贈与者であった者からの贈与により取得した財産については、相続時精算課税は適用されない。2023.5-44-1
    養親から相続時精算課税を適用して贈与を受けた養子が、養子縁組の解消により、その特定贈与者の養子でなくなった場合、養子縁組解消後にその者からの贈与により取得した財産については、暦年課税が適用される。2021.9-43-4
    養親から相続時精算課税を適用して贈与を受けた養子が、養子縁組の解消により、その特定贈与者の養子でなくなった場合、養子縁組解消後にその特定贈与者であった者からの贈与により取得した財産については、相続時精算課税は適用されない。2020.9-43-1
    養親から相続時精算課税を適用して贈与を受けた養子が、養子縁組の解消により、その特定贈与者の養子でなくなった場合においても、養子縁組解消後にその特定贈与者であった者からの贈与により取得した財産については、相続時精算課税が適用される。2017.9-43-2
したがって不適切な記述は[4]です。