FP1級過去問題 2015年1月学科試験 問46

問46

相続税法上の債務控除に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、相続人は日本国籍と国内住所を有する個人であり、相続財産はすべて日本国内にあるものとする。
  1. 債務の金額が確定していない場合であっても、当該債務の存在が確実と認められるものについては、相続開始時の現況によって確実と認められる範囲の金額だけを債務控除の対象とすることができる。
  2. 被相続人は所有する不動産の2023年度の固定資産税を4期に分けて支払っており、第1期分支払終了後に相続が開始した場合、相続開始時点で納期が到来していない第2~4期分の固定資産税は、債務控除の対象となる。
  3. 相続人が不動産を相続登記するために支払った登録免許税、司法書士への報酬は、債務控除の対象となる。
  4. 保証債務は、原則として債務控除の対象とならないが、主たる債務者が弁済不能の状態で保証債務を履行しなければならず、かつ、主たる債務者に求償しても返還を受ける見込みがない場合には、当該債務者が弁済不能の部分の金額について、債務控除の対象となる。

正解 3

問題難易度
肢15.6%
肢29.7%
肢378.9%
肢45.8%

解説

  1. 適切。相続税法では控除できる債務を「確実と認められるものに限る」としています。よって、金額が確定しない場合でも、その存在が確実であるものについてはその範囲で債務控除の対象となります。
  2. 適切。固定資産税は1月1日に市町村の固定資産税課税台帳に課される税金です。通常4回に分けて納付しますが、被相続人への賦課は既に確定しており、単に納付時期が到来していないだけなので、死亡後に相続人の元に納税通知書が届いた固定資産税の金額も債務控除の対象となります。不動産取得税等も同じ考え方で債務控除の対象となります。
    被相続人は、所有していた不動産の2023年度の固定資産税を4期に分けて支払っており、第2期分支払終了後に相続が開始した場合、相続開始時に納期限が到来していない第3期・第4期の固定資産税は、債務控除の対象となる。2022.1-47-4
    被相続人が所有していた不動産に係る固定資産税のうち、相続開始時点で納税義務は生じているが、納期限が到来していない未払いの金額がある場合、その未払いの金額は債務控除の対象となる。2021.1-46-4
  3. [不適切]。相続に関する費用は債務控除に該当しないため、相続人が相続登記のために要した費用や、相続財産の価額の算定のために要した鑑定費用は、債務控除の対象とはなりません。
    相続人が相続により取得した不動産を相続登記するために支払った登録免許税は、債務控除の対象となる。2022.1-47-2
  4. 適切。相続人が承継した被相続人の保証債務は、債務が確定しているものではないので原則として債務控除の対象ではありません。ただし、主たる債務者が弁済不能の状態にあり、求償権を行使しても弁済を受けられる見込みがないと認められたときは、債務控除の対象とすることが可能です。
    相続人が承継した被相続人の保証債務は、原則として、債務控除の対象とならないが、主たる債務者が弁済不能の状態で保証債務を履行しなければならず、かつ、主たる債務者に求償しても返還を受ける見込みがない場合には、当該債務者が弁済不能の部分の金額について、債務控除の対象となる。2022.1-47-1
    相続人が承継した被相続人の保証債務は、主たる債務者が弁済不能の状態でない場合、債務控除の対象とならない。2019.5-46-4
したがって不適切な記述は[3]です。