FP1級過去問題 2022年1月学科試験 問47

問47

相続税法上の債務控除に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、各選択肢において、相続人は日本国内に住所を有する個人であり、相続または遺贈により財産を取得したものとする。
  1. 相続人が承継した被相続人の保証債務は、原則として、債務控除の対象とならないが、主たる債務者が弁済不能の状態で保証債務を履行しなければならず、かつ、主たる債務者に求償しても返還を受ける見込みがない場合には、当該債務者が弁済不能の部分の金額について、債務控除の対象となる。
  2. 相続人が相続により取得した不動産を相続登記するために支払った登録免許税は、債務控除の対象となる。
  3. 被相続人が所有していた賃貸アパートについて、被相続人が入居の際に賃借人から預かった敷金は、債務控除の対象となる。
  4. 被相続人は、所有していた不動産の2024年度の固定資産税を4期に分けて支払っており、第2期分支払終了後に相続が開始した場合、相続開始時に納期限が到来していない第3期・第4期の固定資産税は、債務控除の対象となる。

正解 2

問題難易度
肢15.3%
肢268.2%
肢314.6%
肢411.9%

解説

  1. 適切。相続人が承継した被相続人の保証債務は、債務の履行が確定しているわけではないので債務控除の対象とならないのが原則です。ただし、主たる債務者が弁済不能の状態にあり、求償権を行使しても弁済を受けられる見込みがない場合には、債務控除の対象とすることが可能です(相基通14-3)。
  2. [不適切]。債務控除の対象となるのは、相続開始時に現に存在する被相続人の債務に限られます。相続財産に関する費用や相続登記や相続税の申告に要した費用は、相続人の債務であり発生が相続開始後ですから、債務控除の対象となりません(相基通13-2)。
  3. 適切。被相続人が入居者から預かっている賃貸物件の敷金は、債務控除の対象となります。敷金契約に基づいて将来的に返還債務が発生することが確実だからです。ただし、全額を控除することはできず、複利現価率で現在価値に割り戻した額のみがその対象となります。
  4. 適切。固定資産税は、毎年1月1日に市町村の固定資産税課税台帳に所有者として登録されている者に課されます。通常4回に分けて納付しますが、すでに被相続人の納税義務は確定しているので、納期限が到来していない分についても債務控除の対象となります。
したがって不適切な記述は[2]です。