FP1級過去問題 2015年10月学科試験 問44

問44

成年後見制度に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 法定後見制度において、家庭裁判所に後見開始の審判を請求することができる者は、本人、配偶者および本人の4親等内の親族に限られる。
  2. 法定後見制度において、本人以外の者が後見等の開始の申立てをするためには、後見については本人の同意を必要としないが、保佐および補助については本人の同意を必要とする。
  3. 法定後見制度において、後見については複数の後見人が認められているが、保佐および補助については複数の保佐人、補助人は認められていない。
  4. 任意後見制度における任意後見契約は、家庭裁判所により任意後見監督人が選任されるまで、その効力が生じない。

正解 4

解説

  1. 不適切。家庭裁判所への後見開始の審判の請求は、本人・配偶者・本人の4親等内の親族だけではなく、後見人・保佐人・補助人・検察官などもすることができます。
  2. 不適切。保佐は同意不要です。本人以外の者の請求により審判をする際に本人の同意が必要なのは「補助」だけです。補助開始の審判を受けるのは事理弁識能力が不十分な者とされており、一定程度の判断能力があるため、本人の意思を尊重する趣旨があります(民法17条2項)。なお、後見・保佐については本人の同意は不要です。
    後見等開始の審判の請求を本人以外の者が行う場合、後見および保佐については本人の同意は不要であるが、補助については本人の同意が必要である。2024.1-43-1
    本人以外の者が後見等の開始の申立てを行う場合、後見および保佐については本人の同意は不要であるが、補助については本人の同意が必要である。2016.9-44-1
  3. 不適切。保佐と補助についても、後見と同様に複数の保佐人・補助人の選任が認められています。また、法人保佐人・法人補助人も認められています(民法876条の2第2項、民法876条の7第2項)。
    後見については、複数の成年後見人および法人の成年後見人が認められているが、保佐および補助については、複数の保佐人、補助人や法人の保佐人、補助人は認められていない。2018.1-44-1
  4. [適切]。任意後見契約とは、本人が、受任者に対し、将来認知症などで自分の判断能力が低下した場合に、自分の後見人になってもらうことを委任する契約であって、任意後見監督人が選任された時からその効力を生ずる旨の定めのあるものをいいます(任意後見契約法2条1号)。
    任意後見契約は、本人や任意後見受任者などの請求により、家庭裁判所で任意後見監督人が選任された時から、その効力が生じる。2021.5-44-3
したがって適切な記述は[4]です。