FP1級過去問題 2017年9月学科試験 問46

問46

相続税法上の債務控除に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、各選択肢において、相続人は日本国内に住所を有する個人であり、債務等は相続または遺贈により財産を取得した相続人が負担したものとする。
  1. 被相続人が生前に購入した不動産について、相続開始から3カ月経過後に届いた納税通知書に基づいて相続人が納付した不動産取得税は、債務控除の対象とならない。
  2. 被相続人が生前に購入した墓碑の購入費で、相続開始時に未払いであったものについて、相続開始後に相続人が負担した未払代金は、債務控除の対象とならない。
  3. 被相続人に係る医療費で、相続開始時に未払いであったものについて、相続開始後に相続人が負担し、その相続人の所得税の医療費控除の対象となる医療費は、債務控除の対象とならない。
  4. 被相続人から受け継いだ裁判において、相続開始から2カ月経過後に成立した和解に基づいて相続人が支払った和解金は、債務控除の対象となる。

正解 2

問題難易度
肢16.0%
肢271.8%
肢310.9%
肢411.3%

解説

  1. 不適切。不動産取得税は取得日に納税義務が確定しているため、被相続人が負担すべきであった公租公課として債務控除の対象となります。
    被相続人が生前に購入した墓碑の購入費で、相続開始時に未払いであったものは債務控除の対象とならない。2024.1-45-4
    被相続人が生前に購入した墓碑の購入費で、相続開始時に未払いであったものについて、相続開始後に相続人が支払った場合、その支払代金は債務控除の対象となる。2021.1-46-1
    被相続人が生前に購入した墓碑の購入費で、相続開始時に未払いであったものについて、相続開始後に相続人が支払った場合、その支払代金は債務控除の対象とならない。2019.5-46-3
    被相続人が生前に購入した墓碑の購入費で、相続開始時に未払いであったものについて、相続開始後に相続人が負担した未払代金は、債務控除の対象とならない。2017.9-46-2
  2. [適切]。墓所や祭具は相続税法上の非課税財産とされ、これらの取得、維持または管理のために生じた債務の金額は債務控除の対象外です。よって、墓碑の購入費は債務控除の対象となりません(相基通13-6)。
    被相続人が生前に購入した墓碑の購入費で、相続開始時に未払いであったものは債務控除の対象とならない。2024.1-45-4
    被相続人が生前に購入した墓碑の購入費で、相続開始時に未払いであったものについて、相続開始後に相続人が支払った場合、その支払代金は債務控除の対象となる。2021.1-46-1
    被相続人が生前に購入した墓碑の購入費で、相続開始時に未払いであったものについて、相続開始後に相続人が支払った場合、その支払代金は債務控除の対象とならない。2019.5-46-3
    被相続人が生前に購入した不動産について、相続開始から3カ月経過後に届いた納税通知書に基づいて相続人が納付した不動産取得税は、債務控除の対象とならない。2017.9-46-1
  3. 不適切。相続開始時に未払いだった被相続人の医療費は、相続開始時に発生している確実な債務なので、債務控除の対象となります。また、相続開始後に相続人が支払った場合、その額は医療費控除の対象となる医療費となります。重複適用に関する制限はありません。
    被相続人に係る医療費で、相続開始時に未払いであったものについて、相続開始後に相続人が負担し、その相続人の所得税の医療費控除の対象となる場合、その医療費は債務控除の対象とならない。2021.1-46-2
  4. 不適切。債務控除の対象となるのは、被相続人の死亡のときに現に存在している確実な債務なので、相続開始時に係争中だった裁判に係る和解金や裁判費用は、その後確定しても債務控除の対象になりません。
    被相続人に係る住民税について、相続開始時点で納期限が到来していない未払いの金額は債務控除の対象となる。2024.1-45-2
したがって適切な記述は[2]です。