FP1級過去問題 2020年1月学科試験 問15

問15

個人事業主が、所有する事業用建物が火災により焼失したことにより、加入する各種損害保険から受け取った保険金の課税関係に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、各選択肢において、いずれも契約者(=保険料負担者)は個人事業主であるものとする。
  1. 事業用建物が火災により焼失し、建物を保険の対象とする火災保険の保険金を受け取った場合、当該保険金は非課税となる。
  2. 事業用建物内で保管していた商品が火災により焼失し、商品を保険の対象とする火災保険の保険金を受け取った場合、当該保険金は個人事業主の事業収入となる。
  3. 事業用建物内に設置していた営業用什器備品が火災により焼失し、営業用什器備品を保険の対象とする火災保険から廃棄損を上回る保険金を受け取った場合、当該保険金のうち廃棄損を上回る部分は個人事業主の事業収入となる。
  4. 事業用建物が火災により焼失したことにより業務不能となり、店舗休業保険から保険金を受け取った場合、当該保険金は個人事業主の事業収入となる。

正解 3

問題難易度
肢15.7%
肢216.8%
肢355.8%
肢421.7%

解説

  1. 適切。火災保険は火災や自然災害などで受けた損害を穴埋めするものなので、個人が受け取った火災保険金は所得税法上の非課税所得となります。
    Bさんの自家用車が盗難に遭い、Bさんが加入する自動車保険の車両保険から保険金を受け取った場合、当該保険金は非課税となる。2022.9-14-2
    個人事業主が、事業用建物が火災で焼失したことにより業務不能となり、店舗休業保険から保険金を受け取った場合、当該保険金は非課税所得に該当する。2022.5-14-3
    個人事業主が、所有する店舗で保管していた商品が火災で焼失したことにより、商品を保険の対象とする火災保険から保険金を受け取った場合、当該保険金は非課税所得に該当する。2022.5-14-4
    自動車事故によりBさんの自家用車が全損し、Bさんに対して事故の相手方が加入する自動車保険の対物賠償保険から保険金が支払われた場合、Bさんの過失の有無にかかわらず、当該保険金については、所得税の課税対象とならない。2017.9-15-2
    Dさんが所有する自家用車が盗難に遭い、Dさんに対してDさんが加入する自動車保険の車両保険から保険金が支払われた場合、当該保険金については、所得税の課税対象とならない。2017.9-15-4
  2. 適切。販売するための商品や製品および原材料など、販売商品や棚卸資産などの損害に起因して個人が受け取った損害保険金は、売上の補填とみなされるので、事業収入に計上する必要があります。
    個人事業主が、従業員を被保険者とする傷害保険の死亡保険金を受け取った場合、当該保険金は個人事業主の事業収入に該当する。2022.5-14-1
    事業用建物内に設置していた営業用什器備品が火災により焼失し、営業用什器備品を保険の対象とする火災保険から廃棄損を上回る保険金を受け取った場合、当該保険金のうち廃棄損を上回る部分は個人事業主の事業収入となる。2020.1-15-3
    事業用建物が火災により焼失したことにより業務不能となり、店舗休業保険から保険金を受け取った場合、当該保険金は個人事業主の事業収入となる。2020.1-15-4
    個人事業主が、交通事故により負傷して就業不能となり、所得補償保険の保険金を受け取った場合、当該保険金は個人事業主の事業収入となる。2019.1-14-1
    個人事業主が、従業員を被保険者とする積立普通傷害保険(保険期間5年)の満期返戻金を受け取った場合、当該満期返戻金は個人事業主の事業収入となる。2019.1-14-2
    個人事業主が、所有する店舗内で保管していた商品が火災により焼失し、商品を保険の対象とする火災保険の保険金を受け取った場合、当該保険金は個人事業主の事業収入となる。2019.1-14-3
    個人事業主が、所有している営業用自動車が全損となる事故により廃車となり、自動車保険から廃棄損を上回る車両保険金を受け取った場合、当該保険金のうち廃棄損を上回る部分については個人事業主の事業収入となる。2019.1-14-4
  3. [不適切]。店舗や設備に対する損害保険の保険金は、保険金の受け取りによって利益は生じていないため非課税になり、受け取った保険金が損失を上回った場合でも、差額には課税されません。
    個人事業主が、従業員を被保険者とする傷害保険の死亡保険金を受け取った場合、当該保険金は個人事業主の事業収入に該当する。2022.5-14-1
    事業用建物内で保管していた商品が火災により焼失し、商品を保険の対象とする火災保険の保険金を受け取った場合、当該保険金は個人事業主の事業収入となる。2020.1-15-2
    事業用建物が火災により焼失したことにより業務不能となり、店舗休業保険から保険金を受け取った場合、当該保険金は個人事業主の事業収入となる。2020.1-15-4
    個人事業主が、交通事故により負傷して就業不能となり、所得補償保険の保険金を受け取った場合、当該保険金は個人事業主の事業収入となる。2019.1-14-1
    個人事業主が、従業員を被保険者とする積立普通傷害保険(保険期間5年)の満期返戻金を受け取った場合、当該満期返戻金は個人事業主の事業収入となる。2019.1-14-2
    個人事業主が、所有する店舗内で保管していた商品が火災により焼失し、商品を保険の対象とする火災保険の保険金を受け取った場合、当該保険金は個人事業主の事業収入となる。2019.1-14-3
    個人事業主が、所有している営業用自動車が全損となる事故により廃車となり、自動車保険から廃棄損を上回る車両保険金を受け取った場合、当該保険金のうち廃棄損を上回る部分については個人事業主の事業収入となる。2019.1-14-4
  4. 適切。事業用建物・商品の焼失により業務不能となったことに起因して個人が受け取った店舗休業保険の保険金は、売上の補填と考えられるので、事業収入に計上する必要があります。
    個人事業主が、従業員を被保険者とする傷害保険の死亡保険金を受け取った場合、当該保険金は個人事業主の事業収入に該当する。2022.5-14-1
    事業用建物内で保管していた商品が火災により焼失し、商品を保険の対象とする火災保険の保険金を受け取った場合、当該保険金は個人事業主の事業収入となる。2020.1-15-2
    事業用建物内に設置していた営業用什器備品が火災により焼失し、営業用什器備品を保険の対象とする火災保険から廃棄損を上回る保険金を受け取った場合、当該保険金のうち廃棄損を上回る部分は個人事業主の事業収入となる。2020.1-15-3
    個人事業主が、交通事故により負傷して就業不能となり、所得補償保険の保険金を受け取った場合、当該保険金は個人事業主の事業収入となる。2019.1-14-1
    個人事業主が、従業員を被保険者とする積立普通傷害保険(保険期間5年)の満期返戻金を受け取った場合、当該満期返戻金は個人事業主の事業収入となる。2019.1-14-2
    個人事業主が、所有する店舗内で保管していた商品が火災により焼失し、商品を保険の対象とする火災保険の保険金を受け取った場合、当該保険金は個人事業主の事業収入となる。2019.1-14-3
    個人事業主が、所有している営業用自動車が全損となる事故により廃車となり、自動車保険から廃棄損を上回る車両保険金を受け取った場合、当該保険金のうち廃棄損を上回る部分については個人事業主の事業収入となる。2019.1-14-4
したがって不適切な記述は[3]です。