FP1級過去問題 2022年1月学科試験 問43

問43

「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税」(以下、「本特例」という)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、本問における教育資金管理契約は、2021年4月1日以後に締結したものである。
  1. 受贈者が30歳に達したことにより教育資金管理契約が終了した場合において、非課税拠出額から教育資金支出額を控除した残額があるときは、当該残額は受贈者のその年分の贈与税の課税価格に算入される。
  2. 受贈者が30歳に達した日において学校等に在学している場合や教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受けている場合で、受贈者がこれらに該当することについて取扱金融機関の営業所等に届け出た場合、教育資金管理契約は終了しない。
  3. 贈与者が教育資金管理契約期間中に死亡した場合、受贈者が23歳未満である場合や学校等に在学している場合等を除き、贈与者が死亡した日における管理残額を受贈者が贈与者から相続等により取得したものとみなされ、教育資金管理契約は終了する。
  4. 受贈者が贈与者の孫(代襲相続人ではない)である場合、相続等により取得したものとみなされる管理残額に対応する相続税額については、相続税額の2割加算の対象となる。

正解 3

問題難易度
肢110.9%
肢218.1%
肢337.7%
肢433.3%

解説

  1. 適切。本特例は、受贈者が30歳未満の方が教育資金に充てるため、金融機関等との一定の契約に基づき、受贈者の直系尊属から信託受益権を取得した場合に適用される特例なので、30歳(在学中であれば40歳)に達すると教育資金管理契約が終了になります。管理残額があった場合、教育資金管理契約終了時にその額の贈与があったこととされます。
    贈与者が教育資金管理契約の期間中に死亡した場合であっても、贈与者の死亡による課税関係は生じず、当該教育資金管理契約に係る非課税拠出額から教育資金支出額を控除した残額が相続税の課税対象となることはない。2019.9-43-4
    贈与者が結婚・子育て資金管理契約の期間中に死亡した場合に、当該資金管理契約に係る非課税拠出額から結婚・子育て資金支出額を控除した残額があるときには、その残額は、受贈者が当該残額以外の財産を相続または遺贈により取得したかどうかにかかわらず、相続税の課税対象となる。2019.5-43-3
    受贈者が50歳に達して結婚・子育て資金管理契約が終了した場合に、当該資金管理契約に係る非課税拠出額から結婚・子育て資金支出額を控除した残額があるときには、その残額は、その年に贈与があったものとして贈与税の課税対象となる。2019.5-43-4
    受贈者が30歳に達すると教育資金管理契約が終了するが、終了した時点で教育資金管理契約に係る非課税拠出額から教育資金支出額を控除した残額がある場合、当該残額はその年の贈与税の課税価格に算入される。2014.1-48-4
  2. 適切。本特例は、受贈者が30歳に達した時に在学中や教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受講中の場合には、40歳まで教育資金管理契約を延長することが可能になり、教育資金管理契約は終了しません。
    本特例の適用を受けた受贈者が学校等に在学している場合または教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受講している場合には、受贈者の年齢によって教育資金管理契約が終了することはない。2019.9-43-3
  3. [不適切]。契約期間中に贈与者が死亡した場合において、受贈者が一定の期間内にその贈与者からの教育資金の贈与について本特例の適用を受けたことがあるときは、受贈者が贈与者の死亡日において、①23歳未満である、②学校等に在学している、③教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受けている場合を除いて、管理残額を相続等によって取得したものとみなされます。しかし、資金管理契約が終了するのは受贈者が30歳に達した場合等なので、贈与者の死亡により終了するわけではありません。
  4. 適切。本特例では契約期間中に贈与者が死亡した場合、死亡時の管理残高は相続税の課税対象になります。2021年4月1日以降に行われた本特例贈与について、孫が受贈者であるときは、通常の相続と同様に相続税額の2割加算の規定が適用されるように改正されています。
したがって不適切な記述は[3]です。