FP1級過去問題 2024年5月学科試験 問37

問37

土地区画整理法に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 宅地の所有権または借地権を有する者は、1人で、または数人共同して、当該権利の目的である宅地に係る土地区画整理事業の施行者となることができる。
  2. 仮換地が指定された場合、従前の宅地の所有者は、換地処分の公告がある日まで、従前の宅地について所有権の移転登記をすることができない。
  3. 土地区画整理組合が施行する土地区画整理事業に係る施行地区内の宅地について所有権または借地権を有する者や、当該宅地の上の建物について所有権または借家権を有する者は、すべて当該組合の組合員となる。
  4. 土地区画整理組合の設立認可の公告があった日から換地処分の公告がある日までに、その施行地区内において、土地区画整理事業の施行の障害となるおそれがある土地の形質の変更や建築物の新築等を行おうとする者は、当該組合の許可を受けなければならない。

正解 1

問題難易度
肢161.6%
肢28.8%
肢310.8%
肢418.8%

解説

  1. [適切]。土地区画整理事業は、個人、組合、行政事業が施行者となって実施します。宅地について所有権もしくは借地権を有する者等は、1人または数人共同して規約と事業計画を定め、都道府県知事の認可を受ければ施行者となることができます(土地区画整理法3条1項)。
    宅地の所有権または借地権を有する者は、1人で、または数人共同して、当該権利の目的である宅地に係る土地区画整理事業の施行者となることができる。2020.9-36-1
  2. 不適切。仮換地は土地区画整理事業が終了するまで、従前の宅地の代わりに使用収益することを認められる土地です。仮換地の指定があると、従前の宅地について使用収益ができなくなりますが、換地処分があるまでの期間であれば従前の宅地について所有権移転の登記をすることは可能です。
    仮換地が指定された場合、従前の宅地の所有者は、換地処分の公告がある日まで、従前の宅地について所有権移転の登記をすることができない。2020.9-36-2
    仮換地が指定された場合、従前の宅地の所有者は、換地処分の公告がある日まで、従前の宅地について抵当権設定の登記をすることができない。2020.9-36-3
    仮換地が指定された場合、従前の宅地の所有者は、当該仮換地について抵当権を設定することができるが、従前の宅地には抵当権を設定することはできない。2018.9-37-1
    仮換地が指定された場合、従前の宅地について権原に基づき使用または収益をすることができる者は、仮換地の指定の効力発生の日から換地処分の公告がある日まで、仮換地について、従前の宅地について有する権利の内容である使用または収益と同じ使用または収益をすることができる。2015.9-39-2
    仮換地が指定された場合、従前の宅地の所有者は、換地処分の公告がある日まで、従前の宅地について売買契約を締結することができない。2015.9-39-3
  3. 不適切。組合が施行する土地区画整理事業に係る施行地区内の宅地について所有権または借地権を有する者は、すべてその組合の組合員となりますが、当該宅地の上の建物の所有者や賃借人は含まれません(土地区画整理法25条1項)。
    土地区画整理組合が施行する土地区画整理事業に係る施行地区内の宅地について所有権または借地権を有する者や、当該宅地の上の建物について所有権または借家権を有する者は、すべて当該組合の組合員となる。2018.9-37-3
  4. 不適切。組合の許可ではありません。土地区画整理組合の設立認可の公告日から換地処分の公告日までに、施行地区内において土地区画整理事業の障害となる土地の形質の変更や建築物の新築等を行う場合には、都道府県知事等の許可が必要になります(土地区画整理法76条1項)。
    土地区画整理組合が施行する土地区画整理事業の換地計画において定められた保留地は、換地処分の公告があった日の翌日に、施行者である当該組合が取得することになる。2018.9-37-2
    土地区画整理組合の設立認可の公告があった日から換地処分の公告がある日までに、施行地区内において、土地区画整理事業の施行の障害となるおそれがある土地の形質の変更や建築物の新築等を行おうとする者は、当該組合の許可を受けなければならない。2018.9-37-4
したがって適切な記述は[1]です。