FP1級過去問題 2024年5月学科試験 問36

問36

都市計画法に基づく開発許可に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 建築物の建築または特定工作物の建設を伴わない資材置場の用に供する目的で行う土地の区画形質の変更は、その規模にかかわらず、都道府県知事等による開発許可を受ける必要はない。
  2. 市街化区域内において行う開発行為で、原則としてその規模が1,500㎡未満であるものは、都道府県知事等による開発許可を受ける必要はない。
  3. 市街化区域内の農地において農業者が農業の用に供する堆肥舎や農機具等収納施設を建築する目的で行う開発行為は、その規模にかかわらず、都道府県知事等による開発許可を受ける必要はない。
  4. 被相続人が開発許可を受けていた場合、その相続人が、被相続人が有していた当該許可に基づく地位を承継するためには、都道府県知事等の承認を受けなければならない。

正解 1

問題難易度
肢157.1%
肢29.9%
肢322.9%
肢410.1%

解説

  1. [適切]。都市計画法では、開発行為を「主として建築物の建築または特定工作物の建設の用に供する目的で行なう土地の区画形質の変更をいう」と定義しています(都市計画法4条12項)。このため、土地の区画形質の変更を行う目的が建築物の建築や特定工作物の建設ではないときは、面積を問わず開発行為には該当せず、したがって開発許可を受ける対象とはなりません。
  2. 不適切。1,500㎡ではありません。市街化区域内で行う開発行為で、開発許可が不要となるのは開発規模1,000㎡未満のものです(都市計画法令19条1項)。
  3. 不適切。市街化区域以外の場所では、農林漁業者の居住用建物や農林水産物の生産等に必要な一定の建築物を建築するための開発行為が、面積を問わず許可不要となります(都市計画法29条1項2号)。しかし、本肢は市街化区域内ですから、原則どおり基準面積(1,000㎡)以上であれば開発許可が必要となります。
    市街化区域内にある農地を他の農業者に農地として譲渡する場合、都道府県知事等の許可を受ける必要はなく、あらかじめ農業委員会に届け出れば足りる。2024.9-37-1
    市街化区域内にある農地を他の農業者に農地として譲渡する場合、都道府県知事等の許可を受ける必要はなく、あらかじめ農業委員会に届け出れば足りる。2022.1-38-2
    市街化調整区域内の農地を駐車場の用地として自ら転用する場合、都道府県知事等の許可を受ける必要はなく、あらかじめ農業委員会に届け出れば足りる。2022.1-38-3
    市街化区域内にある農地を物流倉庫の用地として転用する目的で譲渡する場合、その面積が3,000㎡以上のものは都道府県知事等の許可を受けなければならないが、3,000㎡未満のものは、あらかじめ農業委員会に届け出れば足りる。2022.1-38-4
    農業者である個人が、所有する市街化区域内の農地を他の農業者に農地として譲渡する場合、その面積規模にかかわらず、原則として、農地法第3条に基づく農業委員会の許可を受ける必要がある。2021.1-38-1
    農業者である個人が、所有する市街化区域内の農地を駐車場用地として自ら転用する場合、あらかじめ農業委員会に届け出れば、農地法第4条に基づく都道府県知事等の許可を受ける必要はない。2021.1-38-2
    個人が市街化区域内にある農地を農地以外のものに自ら転用する場合、その面積規模にかかわらず、あらかじめ農業委員会に届出をしておけば、都道府県知事等の農地転用に関する許可を受ける必要はない。2016.9-37-2
  4. 不適切。開発許可を受けた者の相続人その他の一般承継人は、被承継人が有していた当該許可に基づく地位を当然に承継します(都市計画法44条)。一方、開発許可を受けたものから工事を施行する権限を取得した者の場合は、都道府県知事の承認を受けなければ地位の承継がなされないという違いがあります。
したがって適切な記述は[1]です。