FP1級過去問題 2025年1月学科試験 問7

問7

公的年金等に係る所得税の取扱いに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、各選択肢において、納税者は居住者であるものとし、記載のない事項については考慮しないものとする。
  1. 2025年中に2年分の国民年金の保険料を前納した場合、2025年分以後の各年分の保険料に相当する金額が各年分の社会保険料控除の対象となり、前納した保険料の全額を2025年分の社会保険料控除の対象とすることはできない。
  2. 69歳到達時に老齢基礎年金の請求手続をして、65歳からの4年分の年金を一括で受け取った場合、当該年金は、受け取った年分の一時所得として所得税の課税対象となる。
  3. 国民年金基金において、老齢年金は雑所得として所得税の課税対象となり、加入員が死亡し、その遺族が受け取る遺族一時金は非課税となる。
  4. 老齢基礎年金の受給権者が死亡し、その者に支給されるべき年金給付のうち、まだ支給されていなかったもの(未支給年金)を受給権者の子が受け取った場合、子が受け取った当該未支給年金は、相続税の課税対象となる。

正解 3

問題難易度
肢117.6%
肢217.2%
肢344.7%
肢420.5%

解説

  1. 不適切。前納制度に基づき翌年以降分の国民年金保険料を前納した場合、次のいずれかの方法で社会保険料控除を申告することができます(所基通74・75-2)。
    1. 全額を支払った年に控除する
    2. 各年分の保険料に相当する額を各年に控除する
    2年分の国民年金の保険料を前納した納税者は、確定申告等により、納めた全額をその支払った年分の社会保険料控除の対象とすることができる。2021.9-7-1
    2年分の国民年金保険料を前納した納税者は、納めた全額をその支払った年分の社会保険料控除の対象とするか、各年分の保険料に相当する額を各年分の社会保険料控除の対象とするかのいずれかを選択することができる。2019.1-6-2
  2. 不適切。一時所得ではありません。公的年金を過去の分もまとめて一括で受け取った場合、当該年金は本来支給されるべきだった日の収入金額として取り扱われます(所基通36-14)。したがって4年分受け取ったときは、過去4年に分けて各年の公的年金等の雑所得として課税されます。
    65歳到達時に老齢基礎年金の受給権を取得し、70歳に達する前に当該老齢基礎年金を請求していなかった者が、70歳時に5年分の年金を一括して受給した場合、その一括して受給した年金は、一時所得として総合課税の対象となる。2021.5-7-3
  3. [適切]。公的年金のうち課税されるのは老齢給付だけです。国民年金基金もこの例により、老齢年金は公的年金等の雑所得として課税されますが、遺族一時金は非課税所得です。
  4. 不適切。相続税ではありません。年金を受け取るべき受給権者が死亡し、当該相続人が未支給年金請求権に基づき年金を請求し受け取った場合、相続人の自己の固有の権利として請求したとみなされるため、一時所得として所得税の課税対象となります(所基通34-2)。
    老齢基礎年金の受給権者が死亡し、その者に支給すべき年金給付で死亡後に支給期の到来する年金を、生計を同じくしていた受給権者の子が受け取った場合、子が受け取った当該未支給年金は、一時所得として課税の対象となる。2022.1-7-4
    老齢基礎年金の受給権者が死亡し、その者に支給すべき年金給付で死亡後に支給期の到来する年金を受給権者の子が受け取った場合、その者が受け取った当該未支給年金は、みなし相続財産として相続税の課税対象となる。2021.9-7-4
    老齢基礎年金および老齢厚生年金の受給権者が死亡し、その死亡した者に支給すべき年金給付で死亡後に支給期の到来する年金を相続人が受け取った場合、相続人が受け取った当該未支給年金は、相続税の課税対象となる。2021.5-7-4
    老齢基礎年金および老齢厚生年金の受給権者が死亡し、その者に支給すべき年金給付で死亡後に支給期の到来する年金を相続人が受け取った場合、相続人が受け取った当該未支給年金は、当該相続人の一時所得に該当する。2019.1-6-4
したがって適切な記述は[3]です。