FP1級過去問題 2025年1月学科試験 問26
問26
居住者に係る所得税の退職所得に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。
- 会社員のAさん(40歳)が、病気による休職期間後に退職して退職金を受け取った場合に、当該退職金の額が勤続期間からその休職期間を控除した期間に基づき算定されているときは、退職所得控除額の計算上、勤続期間から当該休職期間を控除して勤続年数を計算する。
- 会社員のBさん(52歳)が、障害者になったことに直接基因して勤続29年3カ月で退職して退職金2,000万円を受け取った場合、退職所得の金額の計算上、退職所得控除額は1,600万円となる。
- 会社員のCさん(60歳)が、確定拠出年金の個人型年金の老齢給付金を一時金として一括で受け取った場合、退職所得の金額の計算上、受け取った老齢給付金の全額が収入金額となる。
- 会社役員のDさん(64歳)が、上場企業を定年退職した後に入社した関連会社で常勤監査役として勤務し、勤続4年8カ月で退職して退職金を受け取った場合、当該退職金は特定役員退職手当等に該当する。
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正解 1
問題難易度
肢166.4%
肢214.9%
肢314.1%
肢44.6%
肢214.9%
肢314.1%
肢44.6%
分野
科目:D.タックスプランニング細目:3.各種所得の内容
解説
- [不適切]。休職等により勤務が一時的に中断した期間があり、就業規程等により退職金の算定年数からその休職等の期間が除かれている場合であっても、退職所得控除額計算上の勤続年数は、休職等期間も引き続き勤務していたものとした年数となります(所基通30-7)。病気により休職をした期間がある者が退職金を受け取った場合、当該退職金の額が勤続期間から休職をした期間を控除した期間に基づき計算されているときであっても、退職所得控除額の計算上、休職をした期間を控除しない勤続期間により勤続年数を計算する。(2023.9-25-1)
- 適切。勤続年数20年超の退職所得控除額は「800万円+70万円×(勤続年数-20)」で求めます。1年未満の勤続年数は切り上げて1年とするので、勤続29年3カ月は30年で計算します。また、障害者になったことが直接の原因で退職した場合、退職所得控除額が100万円加算されます。
800万円+70万円×(30年-20年)+100万円
=800万円+700万円+100万円=1,600万円会社員のAさん(55歳)は、勤続25年3カ月で障害者になったことに直接基因して退職することとなり、退職金を受け取った。この場合、退職所得の金額の計算上、退職所得控除額は1,320万円となる。(2022.1-26-1)勤続30年5カ月で障害者になったことに直接基因して退職することとなり、退職金を受け取った場合、退職所得の金額の計算上、退職所得控除額は1,770万円となる。(2016.9-27-1)勤続25年3カ月で障害者になったことに直接基因して退職することになった場合、退職所得の金額の計算上、退職所得控除額は1,320万円となる。(2014.9-26-1) - 適切。確定拠出年金の老齢給付金を一時金として一括で受け取った場合、受け取った給付金全額が退職所得の収入金額となります。小規模企業共済の共済金も同じです。会社員のCさん(60歳)は、確定拠出年金の個人型年金の老齢給付金を一時金として一括で受け取った。この場合、老齢給付金として支給される一時金の額が退職所得の収入金額となる。(2022.1-26-3)確定拠出年金の老齢給付金を一時金として一括で受け取った場合、老齢給付金の金額から納税者が拠出した確定拠出年金の掛金の総額を差し引いた額が退職所得の収入金額となる。(2019.1-25-3)
- 適切。役員等勤続年数が5年以下の国家公務員や地方公務員、議員、法人の役員は退職所得上の特定役員となり、通常、退職所得控除額を差し引いた後に行う2分の1課税が適用外となります。法人の役員には、法人の取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事および清算人等が含まれるので、監査役であり役員等勤続年数5年以下で退職したDさんの退職所得は、特定役員退職手当等として計算することになります。常勤監査役のDさん(64歳)は、上場企業を定年退職した後に入社した関連会社の常勤監査役を勤続4年3カ月で退職し、退職金を受け取った。この場合、特定役員退職手当等として退職所得の金額を計算する。(2022.1-26-4)
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