FP1級過去問題 2025年1月学科試験 問45

問45

民法における特別寄与料に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。
  1. 相続開始後、被相続人に特別寄与者がいることを知った相続人は、その特別寄与者に対し、速やかに特別寄与料の支払の請求をするように求めなければならない。
  2. 特別寄与料の支払について、特別寄与者と相続人の間で協議が調わず、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求する場合、その申立ては、特別寄与者が相続の開始および相続人を知った時から3カ月以内にしなければならない。
  3. 被相続人と婚姻の届出をしていないが、被相続人といわゆる内縁関係にあった者は、被相続人に対して無償で療養看護等をしたことにより特別の寄与をしていたと認められる場合、相続開始後、相続人に対し、特別寄与料の支払を請求することができる。
  4. 特別寄与者が相続人に対して特別寄与料の支払を請求する場合に、相続人が複数いるときは、各相続人が負担する額は、特別寄与料の額に当該相続人の法定相続分または指定相続分を乗じた額となる。

正解 4

問題難易度
肢16.8%
肢212.4%
肢324.1%
肢456.7%

解説

  1. 不適切。特別寄与料制度は、特別寄与者が相続人に対して請求するものであり、相続人が特別寄与者に対して請求を促す義務は規定されていません。
    相続開始後、被相続人に特別寄与者がいることを知った相続人は、知った時から6カ月以内に、特別寄与者に対し、特別寄与料の支払の請求の催告をしなければならない。2021.5-45-4
  2. 不適切。3カ月ではありません。特別寄与料について当事者間で協議が調わない場合、家庭裁判所への審判申立てをすることができます。この申立ては、特別寄与者が相続の開始および相続人を知った時から6カ月以内、または相続開始の時から1年以内に行う必要があります(民法1050条2項)。
    特別寄与料の支払について、相続人と特別寄与者の間で協議が調わない場合、特別寄与者は家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができるが、その申立は相続の開始があったことを知った時から4カ月以内にしなければならない。2022.5-45-3
    特別寄与料の支払について、相続人と特別寄与者の間で協議が調わない場合、特別寄与者は家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができるが、その申立は相続の開始があったことを知った時から3カ月以内にしなければならない。2022.1-46-3
  3. 不適切。特別寄与者は被相続人の親族(被相続人、相続放棄者、廃除者を除く)であることが要件になるので、婚姻の届出をしていない内縁関係の者など戸籍上の親族でない者は対象外です(民法1050条1項)。
    被相続人と婚姻の届出をしていない内縁関係の者であっても、被相続人に対して無償で療養看護等をしたことにより特別の寄与をしていたと認められる場合、相続開始後、相続人に対し、特別寄与料の支払を請求することができる。2021.5-45-1
  4. [適切]。相続人が数人ある場合には、各相続人は、特別寄与料のうち自身の相続分を乗じた額を負担します(民法1050条5項)。仮に被相続人に2人の子がいて、一方の子の配偶者が特別寄与料を請求する場合には、通常、請求は他方の子に対して行われます。その請求された子は、特別寄与料のうち2分の1(=自身の相続分)を支払えば足ります。
    被相続人の相続開始後、特別寄与者が複数の相続人に対して特別寄与料の支払を請求した場合、各相続人が負担する額は、原則として、特別寄与料の額に各相続人が相続財産を実際に取得した割合を乗じた額となる。2025.9-44-4
    特別寄与者が複数の相続人に対して特別寄与料の支払を請求した場合、各相続人が負担する額は、特別寄与料の額に当該相続人の法定相続分または指定相続分を乗じた額となる。2021.5-45-3
したがって適切な記述は[4]です。