FP1級過去問題 2025年1月学科試験 問44
問44
民法における遺留分に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 共同相続人の1人が遺留分の放棄をした場合、他の各共同相続人の遺留分の額は、その放棄がなかったものとした場合における遺留分の額と、放棄をした者の遺留分に相当する額に各共同相続人の法定相続分の割合を乗じて得た額を合計した額となる。
- 遺留分を算定するための財産の価額に算入される贈与財産の範囲は、原則として、被相続人からその相続開始前3年以内に贈与を受けた財産に限られる。
- 被相続人からその相続開始前に負担付贈与を受けていた場合において、遺留分を算定するための財産の価額に算入する当該贈与による財産の価額は、その目的の価額から負担の価額を控除した額となる。
- 被相続人の相続開始後に遺留分の放棄をする場合、家庭裁判所に遺留分放棄の許可の審判を申し立てる必要がある。
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正解 3
問題難易度
肢112.4%
肢27.0%
肢365.1%
肢415.5%
肢27.0%
肢365.1%
肢415.5%
分野
科目:F.相続・事業承継細目:3.相続と法律
解説
- 不適切。共同相続人の1人が遺留分を放棄しても、他の相続人の遺留分には影響を与えません(民法1049条2項)。つまり、放棄があったとしても遺留分の額は増えません。
- 不適切。3年ではありません。遺留分の算定基礎財産に加算される贈与は、原則として相続開始前1年以内にしたものに限られます。ただし、相続人が受けた特別受益に該当する贈与に関しては相続開始前10年以内に行われたものまで加算対象となります(民法1044条)。特別受益に該当する贈与の価額のうち、遺留分を算定するための財産の価額に加算されるのは、原則として、被相続人の相続開始前5年間に行われた贈与によるものに限られる。(2024.9-44-3)遺留分を算定するための財産の価額に算入される贈与の範囲は、原則として、相続開始前7年以内に被相続人から贈与を受けた財産(非課税財産を除く)に限られる。(2021.9-45-3)特別受益とは、原則として、相続人が被相続人から婚姻、養子縁組のため、または生計の資本として相続開始前10年以内に贈与を受けた財産とされている。(2017.1-43-1)
- [適切]。被相続人から受けた贈与が負担付贈与だった場合、遺留分の算定基礎財産に加算すべき贈与財産の価額は、贈与の目的物の価額から負担の価額を控除した額となります(民法1045条1項)。
- 不適切。相続開始前に遺留分の放棄をするには家庭裁判所の許可が必要ですが、相続開始後は各自が自由に放棄できます(民法1049条1項)。推定相続人の1人が相続開始前に遺留分の放棄をした場合、他の相続人の遺留分の額は増加する。(2021.9-45-2)遺留分権利者が相続の開始前において遺留分の放棄をするためには、家庭裁判所の許可を受けなければならない。(2018.1-46-4)相続の開始前において遺留分を放棄するためには、家庭裁判所の許可を受けなければならない。(2016.1-45-2)推定相続人が相続の放棄を相続開始前に行うためには、その旨を申し立て、家庭裁判所の許可を受ける必要がある。(2015.9-46-1)相続開始前における遺留分の放棄は、家庭裁判所の許可を受けたときに限り、その効力を生ずる。(2015.1-44-2)
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