FP1級過去問題 2025年5月学科試験 問9

問9

保険法に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 保険契約者と被保険者が異なる終身保険において、当該被保険者の同意がなければ、その保険契約の効力は生じない。
  2. 保険契約者と被保険者が同一人である終身保険において、保険契約者の遺言による保険金受取人の変更は、その遺言が効力を生じた後、保険契約者の相続人がその旨を保険者に通知しなければ、これをもって保険者に対抗することができない。
  3. 保険契約者と保険金受取人が異なる終身保険において、当該保険契約の差押債権者から保険者に対して解約請求がされた場合、その請求から3カ月以内に、保険金受取人が保険契約者の同意を得て請求時点の解約返戻金相当額を差押債権者に支払い、かつ、保険者にその旨の通知をすれば、当該保険契約を存続させることができる。
  4. 保険給付を請求する権利や保険料の返還を請求する権利は、原則として、これらを行使することができる時から3年間行使しないときは、時効によって消滅する。

正解 3

問題難易度
肢17.7%
肢215.7%
肢343.3%
肢433.3%

解説

  1. 適切。死亡保険の保険金受取人を変更するには、被保険者本人の同意が必要です(保険法45条)。死亡保険の契約締結時に求める被保険者の同意を、変更時にも一貫して求めるものです。
    保険契約者の配偶者を被保険者とする終身保険について、保険契約を締結する場合や契約締結後に保険金受取人を変更する場合、当該配偶者の同意がなければ、その効力は生じない。2023.1-9-1
    保険契約者の配偶者を被保険者とする終身保険について、その保険契約を締結する場合や契約締結後に保険金受取人を変更する場合、当該配偶者の同意がなければ、その効力は生じない。2019.9-10-1
  2. 適切。被保険者の同意のうえ、遺言で保険金受取人を変更することができます。遺言によって受取人が変更された場合、相続人がその旨を保険会社に通知しなければ、変更の効力を主張することができません(保険法44条)。すなわち、保険会社が変更の通知を受けていない限り、従前の受取人に対して保険金を支払ったとしても、保険会社の責任を問うことはできません。
  3. [不適切]。3カ月ではありません。質権者・差押債権者・破産管財人(以下、解除権者という)などは、保険契約を換価するために保険者に対して解除を請求することができ、その請求から1カ月を経過すると契約解除が成立します。この際、保険金受取人(保険契約者である者を除く)は、1カ月を経過するまでに当該解除により支払われる解約返戻金相当額を解除権者に支払い、かつその旨を保険者に通知すれば、解除の成立を免れることができます(保険法60条)。
  4. 適切。保険金を請求する権利、保険料の返還を請求する権利、保険料積立金の払戻しを請求する権利は、権利を行使できるときから3年で時効消滅します(保険法95条)。
    保険契約者、被保険者または保険金受取人が有する保険給付請求権や保険料返還請求権は、生命保険、損害保険の別を問わず、3年間行わないときは、時効によって消滅する。2019.9-10-4
    保険金受取人が保険金を請求する権利および保険契約者が保険料の返還を請求する権利は、時効により5年で消滅するとされている。2018.1-10-c
    保険金受取人が保険金を請求する権利および保険契約者が保険料の返還を請求する権利は、時効により2年で消滅するとされている。2017.1-9-2
したがって不適切な記述は[3]です。