FP1級過去問題 2025年5月学科試験 問25
問25
居住者に係る所得税の不動産所得に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。
- 賃貸人が、定期借地権の設定の際に賃借人から預託を受けた保証金(賃借人が返還請求権を有するもの)を定期預金に預け入れ、その利子を受け取った場合、当該利子は、不動産所得の金額の計算上、収入金額に算入される。
- 賃貸人が、建物の賃貸借契約の際に賃借人から受け取った敷金(賃借人が返還請求権を有するもの)は、不動産所得の金額の計算上、原則として、その受け取った日が属する年分において収入金額に算入され、賃借人に返還する日が属する年分において必要経費に算入する。
- 賃貸人が、所有する賃貸アパートの建物およびその敷地を譲渡するために、賃借人に支払う立退料は、不動産所得の金額の計算上、必要経費に算入する。
- 賃貸人が、所有する賃貸アパートを取り壊したことにより生じた損失の金額は、不動産の貸付が事業的規模に満たない場合、不動産所得の金額の計算上、その損失の金額を控除する前の不動産所得の金額を限度として必要経費に算入することができる。
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正解 4
問題難易度
肢19.9%
肢29.2%
肢333.6%
肢447.3%
肢29.2%
肢333.6%
肢447.3%
分野
科目:D.タックスプランニング細目:3.各種所得の内容
解説
- 不適切。敷金や保証金を金融資産(預貯金、公社債、指定金銭信託、貸付信託等)として運用している場合、その利息は利子所得として源泉徴収の対象となるので、不動産所得上の計算処理は必要ありません。それ以外の場合には、無利息で金銭の預託を受けたことによる経済的利益が認識され、適正な利率で計算した利息相当額を不動産所得の収入金額に算入することとされています。
- 不適切。返還を要する敷金や保証金は預り金に相当するため、会計上は負債に計上します。よって、収入金額には算入しません。同様に敷金の返還は負債の減少なので、返還時の必要経費にもなりません。
- 不適切。賃貸物件を譲渡する際、借家人等を立ち退かせるための立退料は、譲渡所得を計算するときの譲渡費用となります。不動産所得の計算上の必要経費に算入することはできません(所基通33-7)。所有する賃貸アパートの建物およびその敷地を譲渡するために、当該建物の賃借人に支払う立退料は、譲渡所得の金額の計算上、譲渡費用として総収入金額から控除する。(2025.9-26-4)賃貸アパートの建物およびその敷地を譲渡するために、賃借人に支払う立退料は、不動産所得の金額の計算上、必要経費に算入する。(2022.5-26-1)
- [適切]。不動産所得において貸付不動産の取壊し・除却で生じた損失は、不動産の貸付が事業的規模で行われているかどうかによって、必要経費に算入できる金額が変わります(所得税法51条)。
- 事業的規模
- 損失全額を必要経費にできる
⇒赤字になれば他の所得と損益通算できる - 上記以外
- その損失を控除する前の不動産所得の金額を限度として必要経費にできる
⇒損失を使って不動産所得を赤字にすることはできない
所有する賃貸アパートを取り壊したことにより生じた損失の金額は、当該貸付が事業的規模に満たない規模で行われていた場合、不動産所得の金額の計算上、その損失の金額を控除する前の不動産所得の金額を限度として必要経費に算入することができる。(2024.5-26-2)不動産の貸付が事業的規模でない場合、所有する賃貸アパートを取り壊したことにより生じた損失の金額のうち、不動産所得の金額から引ききれない金額は、不動産所得以外の所得の金額と損益通算することができる。(2023.5-26-3)所有する賃貸アパートを取り壊したことにより生じた損失の金額は、当該貸付が事業的規模で行われている場合、不動産所得の金額の計算上、その損失の金額を控除する前の不動産所得の金額を限度として必要経費に算入することができる。(2022.5-26-3)所有する賃貸アパートを取り壊したことにより生じた損失の金額は、当該貸付が事業的規模に満たない場合、不動産所得の金額の計算上、その損失の金額を控除する前の不動産所得の金額を限度として必要経費に算入することができる。(2021.1-26-3)所有する賃貸アパートを取り壊したことにより生じた損失の金額は、当該貸付が事業的規模で行われている場合、不動産所得の金額の計算上、その損失の金額を控除する前の不動産所得の金額を限度として必要経費に算入することができる。(2019.5-26-4)
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