FP1級過去問題 2025年9月学科試験 問35
問35
不動産の取引において留意すべき民法の規定に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
- 代理権を有しない者が本人に代わって行った不動産の売買契約について、本人が追認する場合、別段の意思表示がない限り、当該売買契約の効力は追認をした時から将来に向かって生じる。
- 同一の不動産について二重に売買契約が締結された場合、譲受人相互間においては、売買契約の締結の先後にかかわらず、原則として、所有権移転登記を先にした者が、当該不動産の所有権の取得を他方に対抗することができる。
- 家屋の売買契約の締結後、売主が買主に家屋を引き渡すまでの間に、その家屋が当事者双方の責めに帰することができない事由によって滅失した場合、買主は、その滅失を理由として代金の支払を拒むことができる。
- 共有名義の不動産について、各共有者は、他の共有者の同意を得ずに自己の持分を共有者以外の者に売却することができる。
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正解 1
分野
科目:E.不動産細目:2.不動産の取引
解説
- [不適切]。代理権を有しない者が代理人として行った行為を「無権代理」といいます。無権代理の相手方は、本人に対して追認するかどうかを決めるように催告できますが、本人が追認した場合、その行為の効果は原則として契約時に遡って生じます(民法106条)。代理権を有しない者が本人に代わって行った不動産の売買契約について、本人が追認する場合、別段の意思表示がない限り、当該売買契約の効力は追認をした時から将来に向かって生じる。(2024.1-35-3)代理権を有しない者が本人に代わって行った不動産の売買契約を本人が追認する場合、その契約の効力は、別段の意思表示がない限り、追認をした時から将来に向かって生じる。(2018.9-35-3)
- 適切。不動産の権利を第三者に対抗するためには登記が必要です。不動産が二重譲渡された場合、売買の先後にかかわらず、先に登記を備えた買主がもう一方の買主に対して所有権を主張できます(民法177条)。
- 適切。売買契約後、引渡し前に天災等の当事者双方の責めに帰することができない事由によって売買目的物が滅失した場合、売主の引渡し債務は履行不能で消滅します。この際、買主はその反対給付たる代金支払いを拒むことができます(民法536条1項)。家屋の売買契約の締結後、売主が買主に家屋を引き渡すまでの間に、その家屋が当事者双方の責めに帰することができない事由によって滅失した場合、買主は、その滅失を理由として代金の支払を拒むことができる。(2024.5-35-3)売買契約の締結後、売主が買主に目的物を引き渡すまでの間に、その目的物が当事者双方の責めに帰することができない事由によって滅失した場合、買主は、その滅失を理由として、代金の支払を拒むことはできない。(2021.5-35-2)
- 適切。共有持分は所有権の一種ですから、各共有者は自己の持分を単独で処分できます。他の共有者の同意を得る必要はありません。共有名義の不動産について、各共有者は他の共有者の同意を得ずに自己の持分を共有者以外の者に売却することができる。(2024.1-35-2)共有名義の不動産について、共有者の1人が共有者以外の者に自己の持分を売却する場合には、他の共有者の同意を得なければならない。(2018.9-35-2)
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