FP1級過去問題 2025年9月学科試験 問50

問50

「非上場株式等についての相続税の納税猶予及び免除の特例(特例措置)」(以下、「本特例」という)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。
  1. 本特例の適用を受けるにあたって、後継者は、先代経営者の相続の開始の日の翌日から3カ月を経過する日において会社の代表権を有している必要がある。
  2. 本特例の適用を受けるためには、相続税の申告書の提出期限までに、納税が猶予される相続税額および利子税の額に相当する担保を提供する必要があるが、本特例の適用を受ける非上場株式等のすべてを担保として提供した場合には、原則として、当該相続税額および利子税の額に相当する担保が提供されたものとみなされる。
  3. 本特例の適用を受けた後継者が、特例経営承継期間内に死亡した場合、当該後継者の相続人は、本特例に係る免除届出書を提出することにより、先代経営者に係る相続税の申告期限の翌日から当該後継者が死亡した日までの期間に係る利子税の額の納付が免除されるが、納税が猶予された相続税額の納付については免除されない。
  4. 本特例の適用を受けた後継者が、特例経営承継期間の経過後に会社の代表権を有しなくなった場合、特例経営承継期間が経過した日から後継者が会社の代表権を有しなくなった日までの期間に応じて、納税が猶予された相続税額のうち一定の金額を納付しなければならない。

正解 2

解説

  1. 不適切。3カ月が誤りです。本特例の適用を受けるための後継者の要件は以下の4つです。
    1. 相続開始日の翌日から5カ月を経過する日において会社の代表権を有していること
    2. 相続開始の時において、後継者とその同族関係者が総議決権数の50%超を保有していること
    3. 相続開始の時において、同族関係者内で筆頭株主であること
    4. 相続開始の直前において、会社の役員であること(被相続人が70歳未満で死亡した場合等を除く)
    本特例の適用を受けるためには、贈与者である先代経営者は、贈与時において会社の代表権を有しておらず、かつ、役員を退任していなければならない。2018.1-50-2
    本特例の適用を受けるためには、後継者である経営承継相続人等は、相続の開始の時において18歳以上であり、かつ、認定承継会社の役員であり、相続開始日の翌日から5カ月を経過する日において認定承継会社の代表権を有していなければならない。2017.9-50-1
    本特例の適用を受けるためには、後継者は、相続開始日の翌日から5カ月を経過する日において会社の代表権を有し、かつ、被相続人の親族でなければならない。2016.1-50-2
  2. [適切]。本特例の適用を受けるためには、贈与税の申告書の提出期限までに、猶予される贈与税額と利子税の額の合計額に見合う担保を提供する必要があります。このとき、特例の適用を受ける非上場株式等のすべてを担保として提供した場合には、贈与税額および利子税の額に相当する担保が提供されたものとみなされます。
    本特例の適用を受けるためには、贈与税の申告書の提出期限までに、納税が猶予される贈与税額と利子税の額に相当する担保を提供する必要があるが、本特例の適用を受ける非上場株式等のすべてを担保として提供した場合には、当該贈与税額および利子税の額に相当する担保が提供されたものとみなされる。2022.5-50-3
    本特例の適用を受けるためには、贈与税の申告書の提出期限までに、納税が猶予される贈与税額と利子税の額の合計額に相当する担保を提供する必要があるが、本特例の適用を受ける非上場株式等のすべてを担保として提供した場合には、当該贈与税額および利子税の額に相当する担保が提供されたものとみなされる。2022.1-50-3
  3. 不適切。経営承継期間(原則として申告期限の翌日から5年間)に後継者が死亡した場合、後継者の相続人は「免除届出書(死亡免除)」を提出することにより、納税猶予を受けていた相続税とそれに係る利子税の納付が免除されます。
  4. 不適切。経営承継期間中は、代表者であることと本特例の適用を受けた株式を保有していることが必要ですが、経営承継期間の経過後は株式の保有継続等の要件を満たせば、後継者が死亡等するまで納税猶予が継続して適用されます。したがって、経営承継期間後に代表権を有しなくなっても猶予税額を納付する必要はありません。
    特例経営承継期間の経過後に後継者が会社の代表権を有しなくなった場合、特例経営承継期間を経過した日から後継者が会社の代表権を有しなくなった日までの期間に応じて、納税が猶予された相続税額のうち一定の金額を納付しなければならない。2024.5-50-3
したがって適切な記述は[2]です。