FP1級過去問題 2022年1月学科試験 問50

問50

「非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除の特例(特例措置)」(以下、「本特例」という)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 先代経営者である贈与者は、贈与の時において、会社の代表権を有していないことが要件となり、有給の役員として残ることもできない。
  2. 後継者である受贈者は、贈与の時において、原則として役員等の就任から3年以上経過していることの要件を満たす必要があるが、先代経営者である贈与者が70歳未満の場合、当該受贈者が役員等でなくても、本特例の適用を受けることができる。
  3. 本特例の適用を受けるためには、贈与税の申告書の提出期限までに、納税が猶予される贈与税額と利子税の額の合計額に相当する担保を提供する必要があるが、本特例の適用を受ける非上場株式等のすべてを担保として提供した場合には、当該贈与税額および利子税の額に相当する担保が提供されたものとみなされる。
  4. 贈与者が死亡した場合、本特例の適用を受けた非上場株式等は、相続等により取得したものとみなして、相続時の価額により相続税の課税価格に算入されるが、一定の要件を満たせば、引き続き、相続税の納税猶予の特例の適用を受けることができる。

正解 3

問題難易度
肢11.6%
肢216.8%
肢339.2%
肢442.4%

解説

  1. 不適切。先代経営者である贈与者は、贈与時に、会社の代表権を有していないことが要件となりますが、役員を退任することは要件にありません。
    本特例の適用を受けるためには、贈与者である先代経営者は、贈与時において会社の代表権を有しておらず、かつ、役員を退任していなければならない。2018.1-50-2
  2. 不適切。後継者である受贈者は、贈与時に役員等の就任から3年以上経過していることなどが要件になりますが、贈与者の年齢により受贈者が役員であることが不要になるという要件はありません。なお、相続税の納税猶予については、贈与者が70歳未満で死亡した場合、受贈者が役員等でなくても特例の適用を受けることができる適用要件の緩和があります。
  3. [適切]。本特例の適用を受けるためには、贈与税の申告書の提出期限までに、猶予される贈与税額と利子税の額の合計額に相当する担保を提供する必要があります。ただし、特例の適用を受ける非上場株式等のすべてを担保として提供した場合には、贈与税額および利子税の額に相当する担保が提供されたものとみなされます。
    本特例の適用を受けるためには、贈与税の申告書の提出期限までに、納税が猶予される贈与税額と利子税の額に相当する担保を提供する必要があるが、本特例の適用を受ける非上場株式等のすべてを担保として提供した場合には、当該贈与税額および利子税の額に相当する担保が提供されたものとみなされる。2022.5-50-3
  4. 不適切。贈与者が死亡した場合、適用を受けた非上場株式等は、後継者が相続または遺贈により取得したものとみなして、贈与時の価額により相続税の課税価格に算入されます。本肢は「相続時の価額」としているので誤りです。このとき、相続税の申告書に一定の書類を添付して納税地の税務署長に提出することにより相続税の納税猶予の特例の適用を受けることができます。
    贈与者が死亡した場合、本特例の適用を受けた非上場株式等は、相続または遺贈により取得したものとみなして、贈与時の価額により相続税の課税価格に算入されるが、所定の要件を満たせば、相続税の納税猶予及び免除の特例の適用を受けることができる。2022.5-50-4
    本特例の適用を受けた後に贈与者が死亡した場合、本特例の適用を受けた非上場株式等は、原則として、後継者が相続または遺贈により取得したものとみなして、相続時の価額により相続税の課税価格に算入される。2018.1-50-4
    本特例の適用を受けた後に贈与者が死亡した場合、本特例の適用を受けた非上場株式等は、原則として、相続または遺贈により取得したものとみなして、贈与時の価額により相続税の課税価格に算入される。2015.10-50-4
したがって適切な記述は[3]です。