FP1級過去問題 2024年1月学科試験 問48

問48

取引相場のない株式の相続税評価に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 純資産価額方式において、評価会社が課税時期前3年以内に取得した土地の価額は、原則として、課税時期における通常の取引価額に相当する金額によって評価する。
  2. 類似業種比準方式において、直前期末を基準にして計算した3つの比準要素の金額がいずれもゼロである場合、原則として、直前々期末を基準にして計算した比準要素の金額により類似業種比準価額を算出する。
  3. 同族株主がいる会社の株式を同族株主以外の株主が取得した場合、原則的評価方式により計算した金額によって評価することはできず、特例的評価方式である配当還元方式により計算した金額によって評価する。
  4. 休業中であることにより特定の評価会社に該当する会社の株式を同族株主以外の株主が取得した場合、配当還元方式により計算した金額によって評価する。

正解 1

問題難易度
肢141.2%
肢212.7%
肢335.2%
肢410.9%

解説

  1. [適切]。純資産価額を計算する場合、課税時期の3年以内に法人が取得した家屋や土地の評価は、相続税評価額ではなく課税時期における通常の取引価額によることとされています。不動産は現金よりも低く評価されることを利用して、評価時期直前に資産を不動産に移して不当に評価額を下げる行為を防止するためです(財評通185)。
    1株当たりの純資産価額(相続税評価額)の計算上、評価会社が所有する課税時期前3年以内に取得した土地の相続税評価額は、原則として、課税時期における通常の取引価額に相当する金額によって評価する。2023.9-49-3
    純資産価額方式において、評価会社が課税時期前3年以内に取得した家屋がある場合、純資産価額(相続税評価額)の計算上、当該家屋の相続税評価額は、原則として、取得価額によって評価する。2021.5-49-3
    評価会社が所有する土地のうち、課税時期前3年以内に取得した土地がある場合、その株式の純資産価額(相続税評価額)の計算上、当該土地の相続税評価額は、原則として、課税時期における通常の取引価額に相当する金額によって評価する。2018.9-48-4
    純資産価額を計算する場合において、評価会社が有する資産のなかに課税時期前5年以内に取得した土地等や家屋等があるときは、その土地等や家屋等の価額は課税時期における通常の取引価額に相当する金額により評価する。2016.1-48-2
  2. 不適切。3つの比準要素の金額がいずれもゼロである会社は、開業後3年未満の会社等の株式の評価方法に準じて、純資産価額方式で評価します(財評通189)。
    類似業種比準方式において、3つの比準要素の金額のうち、いずれか1つがゼロである場合、類似業種比準価額の計算上、比準割合を算出する際の分母は「2」となる。2021.5-49-1
    類似業種比準方式において、直前期末を基準にして計算した3つの比準要素の金額がいずれもゼロである場合、原則として、直前々期末を基準にして計算した比準要素の金額により類似業種比準価額を算出する。2021.5-49-2
  3. 不適切。同族株主のいる会社の株式を同族株主以外の株主等が取得した場合、特例的評価方式である配当還元方式と原則的評価方式のいずれか低い金額によって評価します(財評通188-2)。
    課税時期において休業中である特定の評価会社の株式は、同族株主以外の株主等が取得した場合、原則として、配当還元方式により算出した価額によって評価する。2022.9-48-4
  4. 不適切。開業前または休業中である評価会社の株式は、取得した者が同族株主であるかどうかにかかわらず純資産価額方式によって評価します。休業中等の場合、正当と認められる額の配当が支払われないことがあり、直前2年間の配当額をベースに算定する配当還元方式を用いるのが適切ではないためです(財評通189-5)。
    課税時期において開業後3年未満である特定の評価会社の株式は、同族株主以外の株主等が取得した場合、配当還元方式により算出した価額によって評価することはできず、純資産価額方式により算出した価額によって評価しなければならない。2022.9-48-3
    休業中であることにより特定の評価会社に該当する評価会社の株式の価額は、同族株主以外の株主等が取得した株式に該当する場合であっても、配当還元方式により算出した価額によって評価することはできない。2019.1-49-4
したがって適切な記述は[1]です。