公的年金(全55問中25問目)

No.25

2020年5月29日に成立し、同年6月5日に公布された「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」の改正事項に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
2021年1月試験 問8
  1. 老齢厚生年金の額について、受給権者が厚生年金保険の被保険者である場合、毎年9月1日を基準日とし、基準日の属する月前の被保険者であった期間を基礎として、基準日の属する月の翌月から改定するものとする。
  2. 65歳未満の厚生年金保険の被保険者に支給する特別支給の老齢厚生年金の在職支給停止の仕組みについて、65歳以上の厚生年金保険の被保険者に支給する老齢厚生年金の在職支給停止の仕組みと同じものとする。
  3. 老齢基礎年金および老齢厚生年金の繰下げ支給における上限年齢を、いずれも70歳から75歳とする。
  4. 確定拠出年金の企業型年金および個人型年金について、加入者となることができる上限年齢を、いずれも60歳から65歳とする。

正解 4

問題難易度
肢120.9%
肢216.5%
肢316.4%
肢446.2%

解説

  1. 適切。これまで老齢厚生年金の額の改定タイミングは、資格喪失時の退職時改定に限定されていましたが、2022年4月以降は、受給権者が厚生年金保険の被保険者である場合、毎年9月1日を基準日とし基準日の属する月前の被保険者であった期間を基礎として、基準日の属する月の翌月から改定され年金額に反映されます(在職定時改定)。
    この改正には高齢期の就労継続を早期に年金額に反映させる目的があります。今までは70歳まで厚生年金の被保険者として勤務する場合、65歳から70歳までの納付月数が反映されるのは70歳以後の年金額でしたが、今後は毎年改定されることになります。
  2. 適切。在職老齢年金の支給調整開始基準額は、2022年3月まで65歳未満の人と65歳以上の人で異なり、65歳未満の人は合計28万円を超えると支給停止が始まることになっていました。しかし、2022年4月以降、65歳未満の人の基準額も65歳以上の人と同じに増額なりました。60歳前半期に年金を受取りながら働く人の勤労意欲を高める狙いがあります。
  3. 適切。これまで繰下げできる最高年齢は70歳でしたが、2022年4月以降、老齢基礎・老齢厚生年金いずれも75歳まで繰下げできることになりました。なお、繰下げによる増額率は1月につき0.7%で変わりませんので、増額率は最大で「0.7%×120月=84%」です。
  4. [不適切]。これまで確定拠出年金の加入者となることができる上限年齢は、個人型年金は60歳未満、企業型年金は65歳未満でした。2022年5月以降、厚生年金被保険者と国民年金の任意加入被保険者に限り個人型年金は65歳未満に、企業型年金は原則70歳未満に引き上げられました。
したがって不適切な記述は[4]です。