FP1級過去問題 2022年5月学科試験 問6

問6

公的年金の遺族給付に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。
  1. 厚生年金保険の被保険者で、その被保険者期間が25年6カ月である妻(49歳)が被保険者期間中に死亡し、その妻に生計を維持されていた遺族が夫(50歳)と子(14歳)の2人である場合、遺族基礎年金および遺族厚生年金は夫に支給される。
  2. 厚生年金保険の被保険者で、その被保険者期間が26年6カ月である夫(47歳)が被保険者期間中に死亡し、その夫に生計を維持されていた遺族が妻(45歳)のみである場合、その妻が受給する遺族厚生年金には、妻が65歳になるまでは中高齢寡婦加算額が加算され、65歳以後は経過的寡婦加算額が加算される。
  3. 国民年金の第1号被保険者期間に係る保険料納付済期間が10年以上ある夫(62歳)が、老齢基礎年金または障害基礎年金の支給を受けることなく死亡した場合、夫との婚姻期間が10年以上あり、生計を維持されていた妻(58歳)は、夫が死亡した日の属する月の翌月から5年間、寡婦年金を受給することができる。
  4. 国民年金の第1号被保険者として8年間保険料を納付してきた子(28歳)が、障害基礎年金の支給を受けることなく死亡した場合、生計を同じくしていた母親(55歳)は、死亡一時金を受給することができる。

正解 4

問題難易度
肢111.0%
肢234.5%
肢37.4%
肢447.1%

解説

  1. 不適切。遺族基礎年金の受給権者は、子または子のある配偶者ですので、子(14歳)のいる夫は受給することができます。一方、遺族厚生年金を受給できる遺族の範囲は、妻、子、孫、夫、父母、祖父母で、夫・父母・祖父母には55歳以上という制限があります。よって、夫(50歳)は遺族厚生年金を受給することができず、子が遺族厚生年金を受給することになります。
  2. 不適切。1956年(昭和31年)4月1日以前に生まれた妻は、中高齢寡婦加算の金額よりも自身の老齢基礎年金の金額の方が低く、65歳から自身の老齢基礎年金受給すると金額が減ってしまうので、65歳以降は中高齢寡婦加算と老齢基礎年金の差を埋める目的で経過的寡婦加算額が加算されていました。経過的寡婦加算額の対象となる1951年4月1日生まれの人は70歳以上になっています。したがって2023年現在45歳の妻は、中高齢寡婦加算の対象ですが、経過的寡婦加算額の対象ではありません。
  3. 不適切。寡婦年金は、第1号被保険者としての保険料納付済期間と保険料免除期間の合計が10年以上ある人が、老齢基礎年金または障害基礎年金を受け取らずに死亡した場合に、生計を一にしていた婚姻関係(事実婚関係含む)10年以上の妻が60歳から65歳到達月まで受け取ることのできある年金です(国民年金法49条1項)。よって、58歳から受給することはできません。
  4. [適切]。死亡一時金は、第1号被保険者としての保険料納付済期間が36月以上ある人が、老齢基礎年金または障害基礎年金を受け取らずに死亡し、遺族基礎年金を受給できない場合に、生計を一にしていた遺族(配偶者・子・父母・孫・祖父母)に一定金額が支給される制度です(国民年金法52条の2)。死亡一時金の支給対象者には父母も含まれます。
したがって適切な記述は[4]です。