FP1級過去問題 2018年1月学科試験 問3(改題)
問3
公的年金制度の遺族給付に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。- 厚生年金保険の被保険者であり、その被保険者期間が192月である夫(38歳)が死亡し、その夫に生計を維持されていた遺族が妻(42歳)のみである場合、その妻が受給する遺族厚生年金には中高齢寡婦加算額が加算される。
- 厚生年金保険の被保険者であり、その被保険者期間が384月である妻(50歳)が死亡し、その妻に生計を維持されていた遺族が夫(50歳)と子(15歳)の2人である場合、夫は遺族基礎年金と遺族厚生年金を受給することができる。
- 老齢基礎年金と老齢厚生年金を受給していた夫(70歳)が死亡し、障害基礎年金を受給している妻(67歳)が遺族厚生年金の受給権を取得した場合、その妻は、障害基礎年金と遺族厚生年金のいずれか一方を選択して受給することになる。
- 老齢厚生年金の受給権者の死亡を事由とする遺族厚生年金は、死亡者の国民年金の保険料納付済期間、保険料免除期間および合算対象期間を合計した期間が10年以上あり、かつ、一定の要件を満たす死亡者の遺族に支給される。
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正解 1
問題難易度
肢156.7%
肢220.5%
肢39.9%
肢412.9%
肢220.5%
肢39.9%
肢412.9%
分野
科目:A.ライフプランニングと資金計画細目:5.公的年金
解説
- [適切]。中高齢寡婦加算額が支給されるのは、夫の死亡により遺族厚生年金を受給する妻のうち、次のいずれかに該当する者であって遺族基礎年金を受給していない人です。
- 遺族厚生年金の受給権を取得したときに40歳以上65歳未満
- 40歳に達したときに遺族基礎年金の受給権を有している
- 不適切。遺族基礎年金を受給できるのは、子または子をもつ配偶者であるのに対し、遺族厚生年金を受給できる遺族の範囲は、妻、子、孫、夫、父母、祖父母で、夫・父母・祖父母には55歳以上という制限があります。(国年法37条の2、厚生年金保険法59条)。夫(50歳)は子のある配偶者であるので遺族基礎年金は受給できますが、55歳未満なので遺族厚生年金は受給できません。遺族厚生年金は子(15歳)が受給することになります。
- 不適切。各種年金の併給可否は次のようになっています。65歳以降であれば障害基礎年金と遺族厚生年金は併給可能なので、いずれか一方を選択して受給する必要はありません。障害基礎年金の受給権者で65歳到達前に遺族厚生年金の受給権を取得した者は、65歳到達前はいずれかの年金を選択して受給し、65歳到達以後は障害基礎年金と遺族厚生年金を同時に受給することができる。(2024.9-6-1)障害基礎年金を受給している妻(67歳)が、夫(68歳)の死亡により遺族厚生年金の受給権を取得した場合、障害基礎年金と遺族厚生年金のいずれか一方を選択して受給することになる。(2021.9-5-4)障害基礎年金の受給権者が65歳に達して老齢厚生年金の受給権を取得した場合、当該受給権者は、老齢厚生年金の繰下げ支給の申出をすることができず、65歳から障害基礎年金と老齢厚生年金を受給することになる。(2021.5-4-1)障害基礎年金の受給権者で65歳到達前に遺族厚生年金の受給権を取得した者は、65歳到達前まではいずれかの年金を選択して受給し、65歳到達以後は障害基礎年金と遺族厚生年金を同時に受給することができる。(2021.1-5-3)障害基礎年金を受給している者が65歳到達時に老齢厚生年金の受給権を取得した場合、老齢厚生年金の支給を繰り下げることはできない。(2019.9-4-3)障害基礎年金の受給権者が65歳に達して老齢厚生年金の受給権を取得した場合、当該受給権者は、老齢厚生年金の繰下げ支給の申出をすることができず、65歳から障害基礎年金と老齢厚生年金を受給することになる。(2016.9-4-2)障害基礎年金の受給権者が65歳到達日に老齢厚生年金の受給権を取得した場合は、障害基礎年金と老齢厚生年金の組合せによる年金の受給を選択することができる。(2015.9-5-2)障害基礎年金のみを受給しているCさんが、65歳到達時に老齢厚生年金の受給権を取得した場合、老齢厚生年金の支給を繰り下げることはできない。(2014.1-7-3)
- 不適切。2017年(平成29年)8月1日以降、老齢基礎年金の受給資格期間は25年から10年へと短縮になりましたが、老齢(基礎)厚生年金の受給権者の死亡を事由とする遺族(基礎)厚生年金に係る受給資格期間の支給要件(いわゆる長期要件)は、それ以前と変わらず25年以上のままです(国年法37条3号、厚生年金保険法58条1項4号)。
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