FP1級過去問題 2015年10月学科試験 問9

問9

保険法に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 保険法における保険給付の履行期に関する規定や重大事由による解除に関する規定は、同法施行日よりも前に締結された保険契約にも適用される。
  2. 保険法には、質権者・差押債権者・破産管財人など、当事者以外の解除権者による保険契約の解除(解約)請求に対し、一定の要件のもと、保険金受取人が保険契約を存続させることができる介入権制度が設けられている。
  3. 保険法には、一部の契約を除き、保険法の規定よりも保険契約者等に不利な内容の約款の定めは無効とする片面的強行規定が設けられている。
  4. 保険法によれば、保険金受取人が保険金を請求する権利または保険契約者が保険料の返還を請求する権利は、時効により2年で消滅する。

正解 4

問題難易度
肢17.5%
肢24.3%
肢33.1%
肢485.1%

解説

  1. 適切。保険金の支払時期の規定、重大事由による解除、介入権制度などの一部の規定は、施行日前に締結された保険契約についても適用されます(保険法附則3条ほか)。
    保険法の規定は、原則として同法施行日以後に締結された保険契約に適用されるが、重大事由による解除に関する規定は、同法施行日よりも前に締結された保険契約にも適用される。2017.1-9-4
  2. 適切。質権者・差押債権者・破産管財人(以下、解除権者という)などは、保険契約を換価するために保険者に対して解除を請求することができ、その請求から1カ月を経過すると契約解除が成立します。この際、保険金受取人は、1カ月を経過するまでに当該解除により支払われる解約返戻金相当額を解除権者に支払い、かつその旨を保険者に通知すれば、解除の成立を免れることができます(保険法60条)。
  3. 適切。保険法では「保険契約者または被保険者に不利なものは、無効とする」というような片面的強行規定の規律が設けられ、保険法の規定よりも保険契約者、被保険者または保険金受取人に不利な内容の約款(契約)を定めても、その約款の定めは無効とされます。
    保険法では、一部の事業リスクに係る保険契約を除いて、すべての保険契約を対象に、保険法の規定よりも保険契約者等に不利な内容の約款の定めは無効とする片面的強行規定が設けられている。2015.1-9-3
  4. [不適切]。2年ではありません。保険金を請求する権利、保険料の返還を請求する権利、保険料積立金の払戻しを請求するといった保険契約者が保険会社に有する権利は、行使できる時から3年で時効消滅します。これに対して、保険会社が保険契約者に保険料を請求する権利は、行使できる時から1年で時効消滅します(保険法95条)。
    保険契約者、被保険者または保険金受取人が有する保険給付請求権や保険料返還請求権は、生命保険、損害保険の別を問わず、3年間行わないときは、時効によって消滅する。2019.9-10-4
    保険金受取人が保険金を請求する権利および保険契約者が保険料の返還を請求する権利は、時効により5年で消滅するとされている。2018.1-10-c
    保険金受取人が保険金を請求する権利および保険契約者が保険料の返還を請求する権利は、時効により2年で消滅するとされている。2017.1-9-2
したがって不適切な記述は[4]です。