FP1級過去問題 2016年1月学科試験 問3(改題)

問3

厚生年金保険の適用事業所に常勤している者に支給される老齢厚生年金に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、各選択肢において、ほかに必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。
  1. Aさん(64歳)の基本月額が10万円、2024年1月の標準報酬月額が20万円、2024年1月以前1年間の標準賞与額の総額が60万円の場合、2024年1月分の特別支給の老齢厚生年金として3万円が支給される。
  2. Bさん(67歳)の基本月額が20万円、2024年1月の標準報酬月額が24万円、2024年1月以前1年間の標準賞与額の総額が48万円の場合、2024年1月分の老齢厚生年金は全額が支給される。
  3. Cさん(72歳)に支給される老齢厚生年金は、受け取っている報酬の額にかかわらず、在職支給停止の仕組みは適用されず、全額が支給される。
  4. Dさん(62歳)が特別支給の老齢厚生年金と雇用保険の高年齢雇用継続給付を同時に受けられる場合、特別支給の老齢厚生年金は、在職支給停止の仕組みに加えて、毎月、最大で標準報酬月額の15%相当額が支給停止となる。

正解 2

問題難易度
肢17.3%
肢274.6%
肢36.9%
肢411.2%

解説

厚生年金の被保険者として勤務しながら老齢厚生年金を受給している場合、老齢厚生年金の基本月額と総報酬月額相当額の合計額が48万円を超えると、在職老齢年金の仕組みにより年金の一部または全部が支給停止されます(厚年法46条)。

総報酬月額相当額は、その月の標準報酬月額に、その月以前1年間の標準賞与額の合計を月換算した額を加えて求めます。

 当月の標準報酬月額+当月以前1年間の標準賞与額の合計÷12

  1. 不適切。総報酬月額相当額は「20万円+60万円÷12=25万円」です。基本月額と標準報酬金額の合計は「10万円+25万円=35万円」であり、支給停止調整開始額である48万円以下なので、特別支給の老齢厚生年金は全額支給されます。
    Aさん(63歳)の基本月額が10万円、2024年2月の標準報酬月額が20万円、60歳以後は賞与が支給されていない場合、2024年2月分の特別支給の老齢厚生年金は一部が支給停止される。2019.1-3-1
    Bさん(67歳)の基本月額が20万円、2024年1月の標準報酬月額が24万円、2024年1月以前1年間の標準賞与額の総額が48万円の場合、2024年1月分の老齢厚生年金は全額が支給される。2016.1-3-2
  2. [適切]。総報酬月額相当額は「24万円+48万円÷12=28万円」です。基本月額と総報酬月額相当額の合計は「20万円+28万円=48万円」であり、支給停止調整開始額である48万円以下なので、支給停止額はありません。
    Aさん(63歳)の基本月額が10万円、2024年2月の標準報酬月額が20万円、60歳以後は賞与が支給されていない場合、2024年2月分の特別支給の老齢厚生年金は一部が支給停止される。2019.1-3-1
    Aさん(64歳)の基本月額が10万円、2024年1月の標準報酬月額が20万円、2024年1月以前1年間の標準賞与額の総額が60万円の場合、2024年1月分の特別支給の老齢厚生年金として3万円が支給される。2016.1-3-1
  3. 不適切。70歳を超えると厚生年金保険の被保険者ではなくなりますが、在職老齢年金の適用年齢に上限はないので、老齢厚生年金の基本月額と総報酬月額相当額の合計が48万円を上回った場合には、老齢厚生年金額の一部または全部が支給停止となります。
    70歳以上の老齢厚生年金の受給権者は、厚生年金保険の適用事業所に勤務している場合、原則として在職支給停止の仕組みは適用されず、老齢厚生年金は全額支給される。2015.10-6-4
  4. 不適切。15%ではありません。65歳未満の者が、特別支給の老齢厚生年金と高年齢雇用継続給付を同時に受けている場合には、在職老齢年金の仕組みに加えて、最大で標準報酬月額の6%相当額(61%未満に減収時)が支給停止となります(厚年法7条の5)。
    厚生年金保険の被保険者が、特別支給の老齢厚生年金と雇用保険の高年齢雇用継続給付の支給を同時に受けることができるときは、特別支給の老齢厚生年金は、在職支給停止の仕組みに加えて、毎月、最大で標準報酬月額の6%相当額が支給停止となる。2021.1-5-2
    厚生年金保険の被保険者が、特別支給の老齢厚生年金と雇用保険の高年齢雇用継続給付の支給を同時に受けることができるときは、特別支給の老齢厚生年金は、在職支給停止の仕組みに加えて、毎月、最大で標準報酬月額の15%相当額が支給停止となる。2018.9-6-3
    厚生年金保険の被保険者が特別支給の老齢厚生年金と雇用保険の高年齢雇用継続給付を同時に受けられる場合、特別支給の老齢厚生年金は、在職支給停止の仕組みに加えて、毎月、最大で標準報酬月額の6%相当額が支給停止となる。2015.9-5-4
したがって適切な記述は[2]です。