FP1級過去問題 2016年9月学科試験 問12

問12

外貨建て保険に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 外貨建て保険は、円建て保険と同様に、生命保険料控除や死亡保険金の非課税金額の規定の適用を受けることができる。
  2. 市場価格調整(MVA)機能を有する外貨建て保険は、市場金利に応じた運用資産の価格変動が解約返戻金額等に反映されるため、解約時の市場金利が契約時と比較して上昇した場合には外貨建ての解約返戻金額は増加する。
  3. 外貨建て一時払変額終身保険には、所定の期間内に解約返戻金額があらかじめ指定した円換算の目標値に到達した場合に、定額の円建て終身保険に自動的に移行するものがある。
  4. 外貨建て保険の販売・勧誘については、保険業法により、適合性の原則など、金融商品取引法に規定された行為規制の一部が準用される。

正解 2

問題難易度
肢16.4%
肢280.7%
肢37.4%
肢45.5%

解説

  1. 適切。外貨建て保険も円建ての保険と同じように生命保険料控除の対象となり、死亡保険金の非課税枠「500万円×法定相続人の数」の適用を受けることもできます。
    外貨建終身保険は、円建終身保険と同様に、所得税における生命保険料控除や相続税における死亡保険金の非課税金額の規定の適用を受けることができる。2019.5-11-4
    外貨建て終身保険は、円建ての終身保険と異なり、生命保険料控除や死亡保険金の非課税金額の規定の適用を受けることができない。2015.1-10-2
  2. [不適切]。市場価格調整(Market Value Adjustment)は、保険を中途解約した場合の解約返戻金が市場金利に応じて変動する仕組みのことです。市場価格調整機能を有する保険では、解約時の市場金利が契約時と比較して上昇した場合には解約返戻金が減少し、逆に下落した場合には解約返戻金は増加することになります。これは、市場価格調整の仕組みを持つ保険が一部または全部を債券で運用しており、市場金利が高く(低く)なると債券価格が下がり(上がり)、解約返戻金に充てるための売却価格が下落(上昇)するためです。
    市場価格調整(MVA)機能を有する終身保険の解約返戻金は、解約時の市場金利が契約時と比較して上昇していた場合には減少し、低下していた場合には増加することがある。2024.1-11-4
    市場価格調整(MVA)機能を有する外貨建終身保険は、市場金利に応じた運用資産の価格変動が解約返戻金額等に反映され、契約時と比較した解約時の市場金利の上昇は、解約返戻金額の減少要因となる。2023.1-10-4
    市場価格調整(MVA)機能を有する終身保険の解約返戻金は、解約時の市場金利が契約時と比較して上昇した場合には減少し、下落した場合には増加することがある。2021.9-10-4
    市場価格調整(MVA)機能を有する外貨建終身保険は、市場金利に応じた運用資産の価格変動が解約返戻金額等に反映され、契約時と比較した解約時の市場金利の上昇は、解約返戻金額の減少要因となる。2021.5-10-2
    市場価格調整(MVA)機能を有する変額個人年金保険は、市場金利に応じた運用資産の価格変動が解約返戻金額等に反映され、一般に、解約時の市場金利が契約時と比較して上昇した場合には解約返戻金額は増加する。2019.1-10-4
    市場価格調整(MVA)がある終身保険は、市場金利に応じた運用資産の価格変動が解約返戻金額等に反映されるため、解約時の市場金利が契約時と比較して上昇した場合には解約返戻金額は減少し、下落した場合には増加することがある。2015.1-10-4
  3. 適切。外貨建て一時払変額終身保険には、契約日から契約応当日以降に解約返戻金額の円換算額が円建ての目標額に到達した場合、自動的に運用成果を確保し、円建終身保険へ移行する商品もあります。
  4. 適切。変額保険や外貨建て保険等の市場リスクを有する保険契約は、保険業法における「特定保険契約」に該当し、販売・勧誘する際は「適合性の原則」等の金融商品取引法の規制が一部準用されます(保険業法300条の2)。
    外貨建て終身保険は、市場価格調整(MVA)機能を有しないものについても、保険業法における特定保険契約に該当し、その販売・勧誘については金融商品取引法に規定された行為規制の一部が準用される。2018.9-10-3
したがって不適切な記述は[2]です。