FP1級過去問題 2025年5月学科試験 問11

問11

外貨建保険に関する次の記述のうち、適切なものはいくつあるか。
  1. 外貨建終身保険は、保険業法上、特定保険契約に該当するため、保険契約の申込みの撤回等(クーリング・オフ制度)の適用対象外とされる。
  2. 市場価格調整(MVA)機能を有する外貨建終身保険は、市場金利に応じた運用資産の価格変動が解約返戻金額等に反映され、契約時と比較した解約時の市場金利の上昇は、解約返戻金額の減少要因となる。
  3. 契約者(=保険料負担者)および被保険者を夫、死亡保険金受取人を妻とする外貨建終身保険に円換算支払特約が付加されている場合、夫の死亡により妻が受け取る死亡保険金は、相続税額の計算上、妻が実際に受け取る円貨の額ではなく、外貨建ての保険金額を夫の死亡日における対顧客電信売買相場仲値(TTM)で円換算した額で評価する。
  1. 1つ
  2. 2つ
  3. 3つ
  4. 0(なし)

正解 1

問題難易度
肢156.3%
肢233.7%
肢34.8%
肢45.2%

解説

  1. 不適切。外貨建終身保険や変額保険などは、保険業法上、特定保険契約に分類されますが、要件を満たせばクーリング・オフ制度の適用対象となります。
    なお、クーリング・オフできないのは次のケースです。
    1. 申込み撤回の書面を受け取った日と申込み日の遅い方から起算して8日が経過したとき
    2. 営業や事業のために申し込んだ場合
    3. 保険期間が1年以下である場合
    4. 法令で加入が義務付けられている保険契約
    外貨建終身保険は、保険業法上、特定保険契約に該当するため、保険契約の申込みの撤回等(クーリング・オフ制度)の適用対象外とされる。2019.5-11-1
  2. 適切。市場価格調整(Market Value Adjustment)は、保険を中途解約した場合の解約返戻金が市場金利に応じて変動する仕組みのことです。市場価格調整機能を有する保険では、解約時の市場金利が契約時と比較して上昇した場合には解約返戻金が減少し、逆に下落した場合には解約返戻金は増加することになります。これは、市場価格調整の仕組みを持つ保険が一部または全部を債券で運用しており、市場金利が高く(低く)なると債券価格が下がり(上がり)、解約返戻金に充てるための売却価格が下落(上昇)するためです。
    市場価格調整(MVA)機能を有する外貨建終身保険は、市場金利に応じた運用資産の価格変動が解約返戻金額等に反映され、契約時と比較した解約時の市場金利の上昇は、解約返戻金額の減少要因となる。2023.1-10-4
    市場価格調整(MVA)機能を有する外貨建終身保険は、市場金利に応じた運用資産の価格変動が解約返戻金額等に反映され、契約時と比較した解約時の市場金利の上昇は、解約返戻金額の減少要因となる。2021.5-10-2
    市場価格調整(MVA)機能を有する変額個人年金保険は、市場金利に応じた運用資産の価格変動が解約返戻金額等に反映され、一般に、解約時の市場金利が契約時と比較して上昇した場合には解約返戻金額は増加する。2019.1-10-4
    市場価格調整(MVA)機能を有する外貨建て保険は、市場金利に応じた運用資産の価格変動が解約返戻金額等に反映されるため、解約時の市場金利が契約時と比較して上昇した場合には外貨建ての解約返戻金額は増加する。2016.9-12-2
    市場価格調整(MVA)がある終身保険は、市場金利に応じた運用資産の価格変動が解約返戻金額等に反映されるため、解約時の市場金利が契約時と比較して上昇した場合には解約返戻金額は減少し、下落した場合には増加することがある。2015.1-10-4
  3. 不適切。TTMではありません。外貨で支払われた死亡保険金などのように外貨建ての財産や国外財産は、相続開始日のTTB(対顧客電信相場)またはこれに準ずる相場で円換算して評価します(外貨⇒円貨なのでTTB)。
したがって適切なものは「1つ」です。