FP1級過去問題 2021年9月学科試験 問42

問42

贈与契約に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 定期贈与契約は、贈与者または受贈者の死亡により、その効力を失う。
  2. 負担付贈与契約により土地の贈与を受けた者は、贈与税額の計算上、原則として、当該土地の通常の取引価額に相当する金額から負担額を控除した金額を贈与により取得したものとされる。
  3. 負担付贈与がされた場合、遺留分を算定するための財産の価額に算入する贈与した財産の価額は、その目的の価額から負担の価額を控除した額とする。
  4. 死因贈与契約は、民法における遺贈に関する規定が準用され、贈与者の一方的な意思表示により成立し、贈与者の死亡によってその効力を生じる。

正解 4

問題難易度
肢13.4%
肢211.5%
肢310.8%
肢474.3%

解説

  1. 適切。定期贈与は、契約に別段の定めがない限り、贈与者または受贈者のいずれかが死亡するとその効力を失います。多くの場合、定期贈与は当事者同士の人間関係を基礎としていて、権利義務が相続人に承継されるのは適当ではないためです(民法552条)。
    定期贈与とは、定期の給付を目的とする贈与であり、受贈者が死亡した場合は、その相続人に定期の給付を受ける権利が承継される。2024.9-42-1
    定期贈与とは、定期の給付を目的とする贈与であり、贈与税額の計算上、定期金に関する権利の価額が贈与税の課税価格となる。2022.9-42-1
  2. 適切。負担付贈与を受けた場合は、贈与財産の価額から負担額を控除した価額に課税されることになります。例えば、500万円の負担で3,000万円の土地を受贈した場合には、贈与税の課税価格は「3,000万円-500万円=2,500万円」です(相基通21の2-4)。
    負担付贈与契約により土地の贈与を受けた者は、贈与税額の計算上、原則として、当該土地の通常の取引価額に相当する金額から負担額を控除した金額を贈与により取得したものとされる。2019.9-42-2
  3. 適切。負担付贈与があった場合の遺留分算定基礎財産額は、贈与された財産の価額から負担分を控除した金額となります(民法1045条)。
  4. [不適切]。遺贈の法的な性質は贈与者の一方的な意思表示により成立する単独行為ですが、死因贈与契約は受贈者の合意を必要とする契約行為です。死因贈与にはその性質に反しない限り、遺贈の規定が準用されますが、準用される範囲は効力に関するものであって、遺書能力・方式・承認・放棄に関する規定は準用されません。
    死因贈与は、民法における遺贈に関する規定が準用され、贈与者の一方的な意思表示により成立し、贈与者の死亡によってその効力を生じる。2024.9-42-3
    死因贈与契約は、民法における遺贈に関する規定が準用され、贈与者の一方的な意思表示により成立し、贈与者の死亡によってその効力を生じる。2019.9-42-3
    死因贈与契約は、遺贈に関する規定が準用され、贈与者の一方的な意思表示により成立する。2015.10-42-2
したがって不適切な記述は[4]です。