FP1級過去問題 2021年9月学科試験 問43

問43

相続時精算課税制度に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、各選択肢において、ほかに必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。
  1. 2022年12月31日までに贈与により住宅取得等資金を取得した場合、贈与者の年齢がその年の1月1日において60歳未満であっても、受贈者は相続時精算課税制度の適用を受けることができる。
  2. 相続時精算課税適用者が、その特定贈与者から新たに贈与を受けた場合、贈与を受けた財産の金額の多寡にかかわらず、贈与税の申告書を提出しなければならない。
  3. 相続時精算課税の特定贈与者の相続において、相続時精算課税を適用して贈与を受けた財産を相続財産に加算した金額が遺産に係る基礎控除額以下であれば、相続税の申告は不要である。
  4. 養親から相続時精算課税を適用して贈与を受けた養子が、養子縁組の解消により、その特定贈与者の養子でなくなった場合、養子縁組解消後にその者からの贈与により取得した財産については、暦年課税が適用される。

正解 4

問題難易度
肢113.5%
肢28.0%
肢318.0%
肢460.5%

解説

  1. 適切。相続時精算課税の特定贈与者は60歳以上の直系尊属でなければなりませんが、自己の住宅の新築等の対価に充てるための金銭(住宅取得等資金)の贈与であり、一定の要件を満たすときには、特定贈与者がその贈与の年の1月1日において60歳未満であっても相続時精算課税を選択することができます(相続時精算課税選択の特例)。
  2. 適切。相続時精算課税適用者になると、その特定贈与者からの贈与については暦年課税ではなくなります。暦年課税の基礎控除の適用がなくなるので、その特定贈与者が1円でも贈与を受けた場合には、贈与税の申告書を提出する義務が生じます。税務署側が贈与の累計額を把握するためでもあります。
  3. 適切。相続時精算課税の適用を受けて受贈した財産は、受贈時の時価で相続税の課税価格に算入します。相続税の課税価格の合計が遺産に係る基礎控除額未満であれば、課税遺産総額は算出されないので相続税の申告は不要となります。
  4. [不適切]。養子縁組の解消により特定贈与者の推定相続人でなくなった場合でも、その特定贈与者からの贈与により取得した財産については、引き続き相続時精算課税が適用されます。
したがって不適切な記述は[4]です。