FP1級過去問題 2015年10月学科試験 問42

問42

贈与契約に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 定期贈与契約は、契約期間の満了前に受贈者が死亡することによってその効力を失うが、贈与者が死亡したときは、その贈与者の相続人が引き続き契約期間満了まで贈与をしなければならない。
  2. 死因贈与契約は、遺贈に関する規定が準用され、贈与者の一方的な意思表示により成立する。
  3. 負担付贈与契約とは、受贈者に一定の負担を課す贈与であり、その受贈者の負担から利益を受ける者は贈与者に限られる。
  4. 負担付贈与契約は、双務契約に関する規定が準用され、受贈者が負担を履行しない場合には、贈与者は負担付贈与契約を解除することができる。

正解 4

問題難易度
肢12.4%
肢21.7%
肢32.0%
肢493.9%

解説

  1. 不適切。定期贈与は、契約に別段の定めがない限り、贈与者または受贈者の死亡によりその効力を失います。したがって、贈与者・受贈者のどちらの死亡でも、相続人が権利義務を承継することは基本的にありません。これは定期贈与が当事者同士の人間関係を基礎としていることが多いためです(民法552条)。
  2. 不適切。遺贈の法的な性質は贈与者の一方的な意思表示により成立する単独行為ですが、死因贈与契約は受贈者の合意を必要とする契約行為です。死因贈与にはその性質に反しない限り、遺贈の規定が準用されますが、準用される範囲は効力に関するものであって、遺書能力・方式・承認・放棄に関する規定は準用されません。
    死因贈与は、民法における遺贈に関する規定が準用され、贈与者の一方的な意思表示により成立し、贈与者の死亡によってその効力を生じる。2024.9-42-3
    死因贈与契約は、民法における遺贈に関する規定が準用され、贈与者の一方的な意思表示により成立し、贈与者の死亡によってその効力を生じる。2021.9-42-4
    死因贈与契約は、民法における遺贈に関する規定が準用され、贈与者の一方的な意思表示により成立し、贈与者の死亡によってその効力を生じる。2019.9-42-3
  3. 不適切。負担付贈与契約とは、受贈者に一定の債務を負担させることを条件にした贈与です。第三者に対する債務の履行または労務の提供を条件にして財産を贈与するなどのように、第三者がその負担からの利益を受ける負担付贈与契約も可能です。このとき、その負担が第三者の利益に帰すときは、第三者は負担額に相当する金額を贈与により取得したことになります。
    負担付贈与は、受贈者に一定の給付をなすべき義務を負わせる贈与であり、その受贈者の負担から利益を受ける者は贈与者に限られる。2025.5-42-1
    負担付贈与とは、受贈者に一定の給付をなすべき義務を負わせる贈与であり、受贈者の負担によって利益を受ける者は、贈与者以外の第三者とすることができる。2024.9-42-2
    負担付贈与とは、受贈者に一定の給付をなすべき義務を負わせる贈与であり、その受贈者の負担から利益を受ける者は贈与者に限られる。2024.1-42-3
    負担付贈与とは、受贈者に一定の給付をなすべき義務を負わせる贈与であり、その受贈者の負担から利益を受ける者は贈与者に限られる。2022.9-42-2
    負担付贈与契約とは、受贈者に一定の負担を課す贈与であり、その受贈者の負担から利益を受ける者は贈与者に限られる。2019.9-42-1
  4. [適切]。負担付贈与とは、受贈者に一定の債務を負わせる贈与です。民法の双務契約の規定が準用されるので、受贈者が負担すべき債務を履行しない場合、贈与者はその贈与契約を解除することができます。
したがって適切な記述は[4]です。