FP1級過去問題 2022年9月学科試験 問5
問5
社会保険の給付に係る併給調整や支給停止に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。- 健康保険の傷病手当金の支給を受けるべき者が、同一の傷病により障害等級3級の障害厚生年金の支給を受けることができるときは、当該障害厚生年金の額を360で除して得た額が傷病手当金の1日分の額よりも少ない場合、その差額が傷病手当金として支給される。
- 業務災害により死亡した労働者の遺族が、労働者災害補償保険の遺族補償年金と遺族厚生年金の支給を受けることができるときは、遺族厚生年金の支給を受けている間、遺族補償年金は減額されて支給される。
- 業務災害により障害の状態となった労働者が、労働者災害補償保険の障害補償一時金と厚生年金保険の障害手当金の支給を受けることができるときは、障害手当金が全額支給され、障害補償一時金は支給されない。
- 障害基礎年金および障害厚生年金の受給権者が、65歳到達日に老齢基礎年金および老齢厚生年金の受給権を取得した場合、当該受給権者は、「障害基礎年金と障害厚生年金」「老齢基礎年金と老齢厚生年金」「障害基礎年金と老齢厚生年金」のいずれかの組合せによる年金の受給を選択することができる。
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正解 3
問題難易度
肢114.1%
肢215.5%
肢351.4%
肢419.0%
肢215.5%
肢351.4%
肢419.0%
分野
科目:A.ライフプランニングと資金計画細目:5.公的年金
解説
- 適切。傷病手当金の支給事由となった傷病と同一の傷病で障害厚生年金の支給を受けることができるときは、傷病手当金は支給されません。ただし、障害年金の額(障害厚生年金と障害基礎年金の合計※)を360分の1にした額(つまり1日分)が傷病手当金の日額より少ないときは、その差額が傷病手当金として支給されます(健保法108条3項、同法規則89条)。
※本肢は障害等級3級なので、障害基礎年金の支給はありません。健康保険の傷病手当金の支給を受けるべき者が、同一の傷病により障害厚生年金の支給を受けることができるときは、傷病手当金の支給を受けている間、障害厚生年金は減額支給となる。(2018.9-6-1) - 適切。同一の事由で遺族補償年金と遺族厚生年金の支給を受けることができる場合、遺族基礎年金と遺族厚生年金は全額が支給され、その間の遺族補償年金は以下の率により減額調整されて支給されます(労災保険法別表第一)。業務上死亡した労働者の遺族が、労働者災害補償保険の遺族補償年金と遺族厚生年金の支給を受けることができるときは、遺族厚生年金の支給を受けている間、遺族補償年金は支給されない。(2024.9-6-3)業務中に死亡した労働者の遺族が、遺族厚生年金と労働者災害補償保険の遺族補償年金の支給を受けることができるときは、遺族補償年金の支給を受けている間、遺族厚生年金は減額支給となる。(2018.9-6-2)
- [不適切]。障害手当金は、初診日において厚生年金の被保険者であった者の傷病が初診日から5年以内に治癒し、障害等級3級の状態よりも軽い障害が残ったときに一時金として支給されるものです。国民年金や厚生年金からの年金給付や労災保険の障害補償給付等のの受給権を有する場合、そちらが優先して支給され、障害手当金は支給されません(厚年法56条)。業務上の負傷または疾病により障害の状態となった労働者が、労働者災害補償保険の障害補償一時金と厚生年金保険の障害手当金の支給を受けることができるときは、障害手当金が全額支給され、障害補償一時金は支給されない。(2024.9-6-4)
- 適切。公的年金の併給関係は以下のようになっています。老齢×障害の組み合わせでは「老齢基礎年金と障害厚生年金」のみ選択できません※が、本肢の組み合わせはいずれも選択することができます。※「老齢基礎年金と障害厚生年金」が併給できない理由としては、障害等級1級・2級であれば障害基礎年金を選択したほうが常に有利なので老齢基礎年金との併給を認める合理的な根拠がないこと、障害等級3級の障害厚生年金は単体として受給することを前提として最低保障額があるので併給になじまないことなどがあると思われます。遺族厚生年金の受給権者が、65歳到達日に老齢基礎年金および老齢厚生年金の受給権を取得した場合、65歳到達以後は老齢基礎年金に加えて、遺族厚生年金および老齢厚生年金のうち、受給権者が選択したいずれか一方の年金が支給される。(2024.9-6-2)1958年1月28日生まれの遺族厚生年金を受給している女性が、65歳に達して老齢基礎年金の受給権を取得する場合、67歳に達した月に老齢基礎年金の繰下げ支給の申出をすることができる。(2023.5-5-4)遺族厚生年金の受給権者が、65歳到達日に老齢基礎年金および老齢厚生年金の受給権を取得した場合、老齢基礎年金に加えて、遺族厚生年金としてその3分の2相当額と老齢厚生年金としてその2分の1相当額を受給することができる。(2021.1-5-4)特別支給の老齢厚生年金を受給している者が65歳から老齢基礎年金および老齢厚生年金を受給するときは、老齢基礎年金および老齢厚生年金の繰下げ支給を希望する場合を除き、年金請求書の提出は不要である。(2019.1-4-3)障害基礎年金および障害厚生年金の受給権者が、65歳到達日に老齢基礎年金および老齢厚生年金の受給権を取得した場合、当該受給権者は、「障害基礎年金と障害厚生年金」「老齢基礎年金と老齢厚生年金」「障害基礎年金と老齢厚生年金」のいずれかの組合せによる年金の受給を選択することができる。(2018.9-6-4)遺族厚生年金の受給権者が特別支給の老齢厚生年金の受給権を取得した場合は、いずれか一方の年金を選択して受給することになる。(2015.9-5-1)
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