FP1級過去問題 2023年1月学科試験 問6(改題)

問6

確定拠出年金の個人型年金に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 国民年金の第2号被保険者である公務員が個人型年金に加入する場合、掛金の拠出限度額は年額24万円と、5万5,000円から共済掛金相当額を控除した額のいずれか低い額である。
  2. 日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の国民年金の任意加入被保険者は、個人型年金の加入者となることができるが、日本国内に住所を有しない20歳以上65歳未満の国民年金の任意加入被保険者は、個人型年金の加入者となることができない。
  3. 個人型年金の拠出期間の加入者掛金額は、5,000円に当該拠出に係る拠出期間の月数を乗じた額以上であり、加入者掛金額の単位は1,000円単位である。
  4. 確定拠出年金の企業型年金および確定給付企業年金等を実施していない従業員300人以下の中小事業主は、労使合意の基に、従業員が拠出する個人型年金の掛金に上乗せして、中小事業主掛金を拠出することができる。

正解 2

問題難易度
肢112.5%
肢254.3%
肢313.8%
肢419.4%

解説

  1. 適切。企業年金の加入者、公務員・私学共済加入者が個人型年金に加入した場合、年間の掛金拠出限度額は次のいずれか低い額となります(DC法令36条)。
    • 240,000円(月額20,000円)
    • (55,000円-事業主掛金-他制度掛金相当額を控除した額)×加入月数
    公務員には企業型年金はありませんが、公務員共済の中に退職等年金給付制度があります。原則としては月額20,000円ですが、55,000円から当該共済掛金相当額を控除した額が限度とされます。
    【補足】退職等年金給付の掛金相当額が35,000円となるのは年収が2,800万円以上の人なので、大多数の人は月額20,000円まで拠出可能です。
    国民年金の第3号被保険者が個人型年金に加入する場合、掛金の拠出限度額は年額27万6,000円である。2021.1-6-2
    国民年金の第3号被保険者が個人型年金に加入する場合、掛金の拠出限度額は年額27万6,000円である。2017.9-5-2
  2. [不適切]。国民年金の被保険者であれば加入できることになりました。これにより、第2号被保険者と任意加入被保険者は65歳まで掛金を拠出できるようになり、海外居住の任意加入被保険者もiDeCoの加入対象となりました(DC法62条)。
    日本国内に住所を有しない者は、国民年金の任意加入被保険者となっている者であっても、国民年金基金に加入することができない。2015.10-7-1
    日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の国民年金の任意加入被保険者は、国民年金基金に加入することができる。2014.1-8-1
  3. 適切。個人型年金の掛金額は、月額5,000円以上(1,000円単位)で加入者が自由に設定できます(規約73条2項)。年1回まで変更可能です。
  4. 適切。企業年金(企業型年金・確定給付企業年金・厚生年金基金)を実施していない中小事業主は、従業員が加入している個人型年金(iDeCo)に事業主掛金を上乗せして拠出することができます。この制度は中小事業主掛金納付制度(iDeCo+:イデコプラス)と呼ばれ、企業年金を実施していない中小企業でも従業員の自助による老後への備えを支援できるものです。なお、iDeCo+では事業主掛金が加入者掛金を上回っても問題ありません(DC法68条の2)。
    ※使用する厚生年金被保険者の数が300人以下の事業主
    確定給付企業年金のみを実施している事業所の事業主は、使用する第1号厚生年金被保険者が300人以下である場合、個人型年金加入者である従業員の加入者掛金に上乗せして中小事業主掛金を拠出することができる。2024.9-7-4
    確定給付企業年金の加入者は、実施事業所に使用されるすべての厚生年金保険の被保険者であり、一部の従業員を加入者から除外することはできない。2022.9-6-2
    事業主は、使用する従業員の数が100人以下である場合に限り、個人型年金加入者である従業員の加入者掛金に上乗せして中小事業主掛金を拠出することができる。2021.1-6-3
したがって不適切な記述は[2]です。