FP1級過去問題 2025年9月学科試験 問5

問5

国民年金に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。
  1. 20歳未満や60歳以上の国民年金の第2号被保険者であった期間は、老齢基礎年金の年金額の計算上、保険料納付済期間とされないが、合算対象期間として老齢基礎年金の受給資格期間に算入される。
  2. 国民年金の第1号被保険者が保険料納付猶予制度(国民年金の保険料の免除の特例)の適用を受けるためには、当該被保険者が30歳未満であり、かつ、被保険者本人および配偶者の所得金額が一定額以下である必要がある。
  3. 寡婦年金の額は、原則として、夫の死亡日の属する月の前月までの国民年金の第1号被保険者としての保険料納付済期間を基礎として計算した老齢基礎年金の額の4分の3相当額であるが、当該保険料納付済期間が300月に満たないときは、300月とみなして計算する。
  4. 国民年金の第1号被保険者が死亡し、その遺族が死亡一時金の支給を受ける場合に、当該被保険者が付加保険料を納付した期間が12カ月以上あるときは、死亡一時金の額に一定額が加算される。

正解 1

解説

  1. [適切]。老齢基礎年金の保険料納付済期間は、20歳以上60歳未満の間に保険料を納めた月数です。20歳未満や60歳以上で第2号被保険者だった期間は保険料納付済期間には含まれませんが、合算対象期間には含まれます(国年法5条1項)。
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    20歳未満や60歳以上の国民年金の第2号被保険者であった期間は、老齢基礎年金の年金額の計算上、保険料納付済期間とされる。2022.9-4-1
    第2号被保険者としての被保険者期間のうち、20歳未満および60歳以後の期間は、合算対象期間として老齢基礎年金の受給資格期間に算入される。2020.1-4-2
  2. 不適切。30歳ではありません。国民年金の第1号被保険者が保険料納付猶予制度の適用を受けるためには、当該被保険者が50歳未満で、かつ、本人・配偶者の前年所得金額が一定額以下である必要があります(H26改正法附則14条)。
    猶予制度の対象が50歳未満になったのは2016年(平成28年)7月以降です。それ以前は30歳未満までに限られており、制度の名称も「若年者納付猶予」でした。
    国民年金の第1号被保険者が保険料納付猶予制度(国民年金の保険料の免除の特例)の適用を受けるためには、当該被保険者が30歳未満であり、かつ、被保険者本人および配偶者の所得金額が一定額以下である必要がある。2019.5-4-2
  3. 不適切。寡婦年金の額は、夫の第1号被保険者としての保険料納付済期間と保険料免除期間を基に計算された老齢基礎年金額の4分の3相当額です(国年法50条)。厚生年金のように300月のみなし計算の仕組みはありません。
    寡婦年金の額は、夫の死亡日の属する月の前月までの第1号被保険者としての被保険者期間に係る死亡日の前日における保険料納付済期間および保険料免除期間を基に計算した老齢基礎年金の額の4分の3相当額であり、夫に第2号被保険者としての被保険者期間があっても、その期間は年金額に反映されない。2023.9-4-2
  4. 不適切。12カ月ではありません。死亡一時金は、保険料の掛け捨てを防止するための給付で、第1号被保険者としての保険料納付済期間が36月以上ある人が、老齢基礎年金または障害基礎年金を受け取らずに死亡し、生計を一にしていた遺族が遺族基礎年金を受給できない場合に支給されます。死亡一時金に一定額(8,500円)が加算されるのは、付加保険料納付済期間が36月(3年)以上あるときです(国年法52条の4)。
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したがって適切な記述は[1]です。