不動産の相続対策(全14問中14問目)

No.14

「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」(以下、「本特例」という)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、各選択肢において、ほかに必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。
2014年1月試験 問49
  1. 被相続人の居住の用に供されていた宅地を配偶者が相続により取得し、その配偶者が相続税の申告期限まで居住を継続しなかった、あるいは当該宅地を売却した場合でも、当該宅地は「特定居住用宅地等」として本特例の適用を受けることができる。
  2. 被相続人の事業の用に供されていた宅地を配偶者が相続により取得し、その配偶者が相続税の申告期限まで事業を継続しなかった、あるいは当該宅地を売却した場合、当該宅地は「特定事業用宅地等」として本特例の適用を受けることができない。
  3. 「特定居住用宅地等」を取得した場合、当該宅地に係る本特例の適用対象面積は330㎡である
  4. 「特定事業用宅地等」と「貸付事業用宅地等」の2つの宅地を取得した場合、適用対象面積の調整はせず、それぞれの適用対象面積まで本特例の適用を受けることが可能となる。

正解 4

問題難易度
肢113.3%
肢211.6%
肢37.7%
肢467.4%

解説

  1. 適切。特定居住用宅地の取得者ごとの要件は以下のようになっています。
    49_1.png./image-size:443×240
    配偶者は無条件に適用を受けられます。申告期限までの保有要件もありません。
    被相続人であるCさんの居住の用に供されていた宅地を、相続開始直前においてCさんと同居していた内縁の妻Dさんが遺贈により取得した場合、当該宅地は特定居住用宅地等として本特例の適用を受けることができない。2022.9-49-2
    被相続人の居住の用に供されていた宅地について、配偶者居住権を設定し、被相続人と同居していた配偶者が配偶者居住権に基づく敷地利用権を、同じく同居していた子がその敷地所有権を相続により取得した場合、敷地利用権と敷地所有権の双方について、特定居住用宅地等として本特例の適用を受けることができる。2021.9-49-4
    被相続人が発行済株式総数の全部を有する法人の事業の用に供されていた宅地を被相続人の親族が相続により取得した場合、その親族が相続開始の直前において当該法人の役員でなければ、当該宅地は特定同族会社事業用宅地等として本特例の適用を受けることはできない。2020.9-49-3
    被相続人の事業の用に供されていた宅地(不動産の貸付け等を除く)を配偶者が相続により取得し、その配偶者が当該事業を相続税の申告期限までに承継せず、かつ、営んでいない場合、当該宅地は「特定事業用宅地等」として本特例の適用を受けることができない。2015.1-49-2
    被相続人の居住の用に供されていた宅地を配偶者が相続により取得し、その配偶者が相続税の申告期限まで居住を継続しなかった、あるいは当該宅地を売却した場合でも、当該宅地は「特定居住用宅地等」として本特例の適用を受けることができる。2015.1-49-4
  2. 適切。特定事業用宅地等の取得者の要件は以下の通りです。
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    配偶者であっても事業承継要件と保有継続要件があるので、事業を承継しない場合、売却してしまった場合は適用を受けることができません。
    被相続人であるAさんの居住の用に供されていた宅地を、相続開始の直前においてAさんと同居していたAさんの子Bさんが相続により取得した場合、子Bさんが相続開始前3年以内に子Bさんまたは子Bさんの配偶者の所有する家屋に居住したことがあったとしても、当該宅地は特定居住用宅地等として本特例の適用を受けることができる。2022.9-49-1
    被相続人の居住の用に供されていた宅地を被相続人の親族でない者が遺贈により取得した場合、その者が被相続人と同居していた等の所定の要件を満たせば、当該宅地は特定居住用宅地等として本特例の適用を受けることができる。2021.9-49-2
    被相続人の居住の用に供されていた宅地を被相続人と同居していた被相続人の子が相続により取得した場合であっても、その子が相続開始前3年以内に国内にあるその者またはその者の配偶者の所有する家屋に居住したことがあれば、当該宅地は特定居住用宅地等として本特例の適用を受けることはできない。2021.9-49-3
    被相続人の事業の用に供されていた宅地を被相続人の配偶者が相続により取得した場合、その配偶者が当該宅地を相続税の申告期限までに売却したとしても、当該宅地は特定事業用宅地等として本特例の適用を受けることができる。2020.9-49-1
    被相続人の居住の用に供されていた宅地を被相続人の親族でない者が遺贈により取得した場合、その者が相続開始の直前において被相続人と同居していたときは、当該宅地は特定居住用宅地等として本特例の適用を受けることができる。2020.9-49-2
    被相続人の貸付の用に供されていた宅地を被相続人の親族が相続により取得した場合、その宅地が建物または構築物の敷地の用に供されているものでなければ、当該宅地は貸付事業用宅地等として本特例の適用を受けることはできない。2020.9-49-4
    被相続人の居住の用に供されていた宅地を被相続人の配偶者が相続により取得した場合、配偶者が当該宅地を相続税の申告期限までに売却したとしても、当該宅地は特定居住用宅地等として本特例の適用を受けることができる。2018.1-49-2
    被相続人の居住の用に供されていた宅地を被相続人の子が相続により取得した場合、その子が相続の開始の直前において被相続人と同居していなければ、当該宅地は特定居住用宅地等として本特例の適用を受けることはできない。2018.1-49-3
    被相続人の居住の用に供されていた宅地を被相続人と同居していた長男が相続により取得し、長男が相続税の申告期限までに当該宅地を売却した場合、「特定居住用宅地等」として本特例の適用を受けることができない。2014.9-49-2
  3. 適切。特定居住用宅地等の限度面積は330㎡です。なお、2014年(平成26年)12月31日以前は240㎡が限度でした。
    49_3.png./image-size:478×176
    「特定居住用宅地等」を取得した場合、当該宅地に係る本特例の適用対象面積は最大330㎡である。2014.9-49-3
  4. [不適切]。「貸付事業用宅地」と「その他の特例対象宅地」を併用する場合、限度面積が以下の式によって調整されます。
    49_4.png./image-size:476×32
    限度面積の調整がなく、それぞれの限度面積まで適用可能なのは「特定事業用宅地等」と「特定居住用宅地等」を併用する場合です。
したがって不適切な記述は[4]です。