FP1級過去問題 2024年9月学科試験 問43

問43

相続時精算課税制度に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、各選択肢において、贈与の年においてほかに贈与された財産はなく、記載のない事項については考慮しないものとする。
  1. 相続時精算課税適用者が、同一年中に複数の特定贈与者からそれぞれ200万円の贈与を受けた場合、特定贈与者ごとの贈与財産に係る贈与税の課税価格から相続時精算課税に係る基礎控除額としてそれぞれ110万円が控除される。
  2. 相続時精算課税適用者が、同一年中に特定贈与者および特定贈与者以外の者からそれぞれ200万円の贈与を受けた場合、特定贈与者から受けた贈与財産に係る贈与税の課税価格から相続時精算課税に係る基礎控除額として110万円が控除され、特定贈与者以外の者から受けた贈与財産に係る贈与税の課税価格から暦年課税に係る基礎控除額は控除されない。
  3. 相続時精算課税適用者が特定贈与者から現金の贈与を受けた場合、その金額が相続時精算課税に係る基礎控除額以下であっても、当該贈与について贈与税の申告書を提出しなければならない。
  4. 養親から相続時精算課税制度を適用して贈与を受けた養子が、当該養親との養子縁組解消後に養親であった者からの贈与により取得した財産については、引き続き相続時精算課税制度が適用される。

正解 4

問題難易度
肢110.3%
肢211.1%
肢313.9%
肢464.7%

解説

  1. 不適切。それぞれ110万円ではありません。相続時精算課税制度では、暦年課税とは別に受贈者1人当たり110万円の基礎控除があります。受贈者1人当たりなので、2人の特定贈与者から贈与を受けた場合でも控除額は最高110万円です。
    相続時精算課税適用者が、その特定贈与者から新たに贈与を受けた場合、その特定贈与者に係る1年間の贈与税の課税価格の合計額が基礎控除額を超える場合には、贈与税の申告書を提出しなければならない。2021.9-43-2
    相続時精算課税適用者が、その特定贈与者から新たに贈与を受けた場合、その特定贈与者に係る1年間の贈与税の課税価格の合計額が基礎控除額を超える場合には、贈与税の申告書を提出しなければならない。2019.5-44-1
    相続時精算課税適用者が、その特定贈与者から新たに贈与を受けた場合、特定贈与者から贈与により取得した財産の価額が基礎控除額以下であり、その他に贈与を受けていないときは、その年分の贈与税の申告書を提出する必要はない。2018.9-42-1
    養親から相続時精算課税を適用して贈与を受けた養子が、養子縁組の解消により、その特定贈与者の養子でなくなった場合においても、養子縁組解消後にその特定贈与者からの贈与により取得した財産については、相続時精算課税が適用される。2018.9-42-2
  2. 不適切。相続時精算課税制度では、暦年課税とは別に受贈者1人当たり110万円の基礎控除があります。特定贈与者に係る贈与から110万円、暦年課税に係る贈与から110万円をそれぞれ控除することができます。
  3. 不適切。相続時精算課税制度にも110万円の基礎控除が創設されました。これに伴い、2024年以降は、1年間に特定贈与者から受けた贈与価額の合計が基礎控除額の110万円以下であれば、相続時精算課税制度の適用を受けていても贈与税の申告書を提出する必要はなくなりました。
    2023年中に2,000万円の贈与を受けて相続時精算課税の適用を受けた受贈者が、2024年中に同一の贈与者から100万円の贈与を受けた場合、受贈者は、2024年中に他の贈与を受けていなければ、2024年分の贈与税の申告書を提出する必要はない。2020.9-43-2
  4. [適切]。養子縁組の解消により特定贈与者の推定相続人でなくなった場合でも、その特定贈与者からの贈与により取得した財産については、引き続き相続時精算課税が適用されます。
    養親から相続時精算課税を適用して贈与を受けた養子が、養子縁組の解消により、その特定贈与者の養子でなくなった場合、養子縁組解消後にその特定贈与者であった者からの贈与により取得した財産については、相続時精算課税は適用されない。2023.5-44-1
    養親から相続時精算課税を適用して贈与を受けた養子が、養子縁組の解消により、その特定贈与者の養子でなくなった場合、養子縁組解消後にその者からの贈与により取得した財産については、暦年課税が適用される。2021.9-43-4
    養親から相続時精算課税を適用して贈与を受けた養子が、養子縁組の解消により、その特定贈与者の養子でなくなった場合、養子縁組解消後にその特定贈与者であった者からの贈与により取得した財産については、相続時精算課税は適用されない。2020.9-43-1
    養親から相続時精算課税を適用して贈与を受けた養子が、養子縁組の解消により、その特定贈与者の養子でなくなった場合においても、養子縁組解消後にその特定贈与者であった者からの贈与により取得した財産については、相続時精算課税が適用される。2017.9-43-2
    相続時精算課税制度の適用を受けていた者が、養子縁組の解消により、特定贈与者の推定相続人でなくなった場合は、養子縁組解消後にその特定贈与者であった者からの贈与により取得した財産については、相続時精算課税制度の適用を受けることができない。2014.9-43-4
したがって適切な記述は[4]です。