FP1級過去問題 2020年9月学科試験 問43(改題)

問43

相続時精算課税制度に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。
  1. 養親から相続時精算課税を適用して贈与を受けた養子が、養子縁組の解消により、その特定贈与者の養子でなくなった場合、養子縁組解消後にその特定贈与者であった者からの贈与により取得した財産については、相続時精算課税は適用されない。
  2. 2023年中に2,000万円の贈与を受けて相続時精算課税の適用を受けた受贈者が、2024年中に同一の贈与者から100万円の贈与を受けた場合、受贈者は、2024年中に他の贈与を受けていなければ、2024年分の贈与税の申告書を提出する必要はない。
  3. 相続時精算課税の特定贈与者が死亡した場合、相続時精算課税適用者は、相続時精算課税を適用して贈与を受けた財産を相続財産に加算した金額が遺産に係る基礎控除額以下であっても、相続税の申告書を提出しなければならない。
  4. 相続時精算課税の特定贈与者の死亡以前に相続時精算課税適用者が死亡し、特定贈与者がその相続時精算課税適用者の相続人である場合、相続時精算課税適用者が有していた相続時精算課税の適用を受けていたことに伴う納税に係る権利または義務は当該特定贈与者が承継する。

正解 2

問題難易度
肢16.1%
肢268.8%
肢313.3%
肢411.8%

解説

  1. 不適切。養子縁組の解消により特定贈与者の推定相続人でなくなった場合でも、その特定贈与者からの贈与により取得した財産については、引き続き相続時精算課税が適用されます(相続税法21条の9)。
    養親から相続時精算課税制度を適用して贈与を受けた養子が、当該養親との養子縁組解消後に養親であった者からの贈与により取得した財産については、引き続き相続時精算課税制度が適用される。2024.9-43-4
    養親から相続時精算課税を適用して贈与を受けた養子が、養子縁組の解消により、その特定贈与者の養子でなくなった場合、養子縁組解消後にその特定贈与者であった者からの贈与により取得した財産については、相続時精算課税は適用されない。2023.5-44-1
    養親から相続時精算課税を適用して贈与を受けた養子が、養子縁組の解消により、その特定贈与者の養子でなくなった場合、養子縁組解消後にその者からの贈与により取得した財産については、暦年課税が適用される。2021.9-43-4
    養親から相続時精算課税を適用して贈与を受けた養子が、養子縁組の解消により、その特定贈与者の養子でなくなった場合においても、養子縁組解消後にその特定贈与者であった者からの贈与により取得した財産については、相続時精算課税が適用される。2017.9-43-2
    相続時精算課税制度の適用を受けていた者が、養子縁組の解消により、特定贈与者の推定相続人でなくなった場合は、養子縁組解消後にその特定贈与者であった者からの贈与により取得した財産については、相続時精算課税制度の適用を受けることができない。2014.9-43-4
  2. [適切]。相続時精算課税にも、暦年課税とは別枠で年間110万円の基礎控除があります。特定贈与者からの贈与が年間110万円以下であれば、暦年課税と同様に贈与税の申告書を提出する必要はありません。
    相続時精算課税適用者が特定贈与者から現金の贈与を受けた場合、その金額が相続時精算課税に係る基礎控除額以下であっても、当該贈与について贈与税の申告書を提出しなければならない。2024.9-43-3
  3. 不適切。相続時精算課税の適用を受けた贈与を受けた財産は、贈与時の価額から基礎控除額を控除した残額を相続税の課税価格に加算します。相続時精算課税の適用を受けていても、加算した後の相続税の課税価格の合計額が遺産に係る基礎控除額以下であれば、相続税の申告は不要となります。
  4. 不適切。特定贈与者の死亡以前に相続時精算課税適用者(受贈者のこと)が死亡した場合には、その者の相続人が相続時精算課税に関する権利義務を承継するのが原則ですが、相続人の中に特定贈与者がいる場合、その特定贈与者は権利義務を承継しません。自分が死んだときの精算処理を自分ですることになってしまうからです(相続税法21条の17)。
したがって適切な記述は[2]です。