FP1級過去問題 2015年1月学科試験 問44(改題)

問44

遺留分に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 遺留分は、配偶者、直系尊属および直系卑属(代襲相続人を含む)には認められるが、普通養子や兄弟姉妹には認められない。
  2. 相続開始前における遺留分の放棄は、家庭裁判所の許可を受けたときに限り、その効力を生ずる。
  3. 被相続人が相続開始前3年以内に相続人に贈与した財産は、原則として遺留分の算定の基礎となる財産の価額に加算する。
  4. 遺留分の侵害額請求権は、遺留分権利者が相続の開始があったことを知った日の翌日から10カ月以内に行使しないときは、時効によって消滅する。

正解 2

問題難易度
肢19.0%
肢260.1%
肢325.3%
肢45.6%

解説

  1. 不適切。遺留分は、兄弟姉妹以外の相続人について認められます。普通養子は被相続人の子として遺留分があります(民法1042条)。
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  2. [適切]。遺留分は、相続の放棄と異なり、相続開始前であっても家庭裁判所の許可を受けることで放棄することができます(民法1049条1項)。相続開始後は各自が自由にできます。
    遺留分権利者が相続の開始前において遺留分の放棄をするためには、家庭裁判所の許可を受けなければならない。2018.1-46-4
    相続の開始前において遺留分を放棄するためには、家庭裁判所の許可を受けなければならない。2016.1-45-2
    推定相続人が相続の放棄を相続開始前に行うためには、その旨を申し立て、家庭裁判所の許可を受ける必要がある。2015.9-46-1
  3. 不適切。遺留分算定基礎財産へ加算する贈与の範囲は、下記の2つを除き、原則として相続開始前の1年間に行われたものに限られます(民法1044条)。
    • 当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知っていた贈与
    • 相続開始前10年以内に相続人に対して行われた贈与のうち特別受益(婚姻若しくは養子縁組のため又は生計の資本として受けた贈与)に該当するもの
    本肢は相続人に対して行われた贈与ですが、特別受益に該当するという条件はなく"原則として"とあるので、原則どおり遺留分算定基礎財産に加算するのは相続開始前1年以内の贈与と判断できます。よって「3年以内」とする本肢は誤りです。
    被相続人が相続開始前10年以内に相続人に婚姻若しくは養子縁組のため又は生計の資本として贈与した財産は、贈与者および受贈者が遺留分権利者に損害を加えることを知っていたかどうかにかかわらず、遺留分の算定の基礎となる財産の価額に加算する。2018.1-46-3
    被相続人が相続開始前10年以内に相続人に生計の資本として贈与した財産は、贈与者および受贈者が遺留分権利者に損害を加えることを知っていたかどうかにかかわらず、遺留分の算定の基礎となる財産の価額に加算する。2016.1-45-1
  4. 不適切。遺留分侵害額請求権は、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から1年、相続開始から10年の経過により時効消滅します(民法1048条)。本肢は「10カ月以内」としているので誤りです。
    遺留分侵害額請求権は、遺留分権利者が相続の開始および遺留分を侵害する贈与または遺贈があったことを知った時から1年間行使しないとき、あるいは相続開始の時から10年を経過したときに消滅する。2016.1-45-4
したがって適切な記述は[2]です。