FP1級過去問題 2015年10月学科試験 問46

問46

相続税法上の相続財産等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、各選択肢において、相続人は日本国籍と国内住所を有する個人であり、相続財産はすべて日本国内にあるものとする。
  1. 契約者(=保険料負担者)および被保険者が被相続人である生命保険契約において、相続の放棄をした者が受け取った死亡保険金は、相続税の課税対象となる。
  2. 契約者(=保険料負担者)および被保険者が被相続人である生命保険契約において、相続人が死亡保険金のほかに払戻しによる前納保険料を受け取った場合、当該前納保険料は相続税の課税対象となる。
  3. 被相続人が受け取るべきであった賞与の額が、被相続人の死亡日から1カ月後に確定して支給される場合、当該賞与は、被相続人の給与所得とはならず、相続または遺贈により取得したものとみなし、みなし相続財産として相続税の課税対象となる。
  4. 被相続人の死亡により相続人に支給される弔慰金は、被相続人の死亡が業務上の死亡である場合、実質上退職手当金等に該当すると認められるものを除き、被相続人の死亡当時における普通給与の3年分に相当する金額まで相続税の課税対象とならない。

正解 3

解説

  1. 適切。相続放棄をした者が受け取った死亡保険金は、遺贈により相続財産を取得したとみなさされて相続税の課税対象となります。ただし、相続放棄をした者は、死亡保険金の非課税金額の規定の適用を受けることはできません。
    契約者(=保険料負担者)および被保険者を被相続人、死亡保険金受取人を被相続人の子とする終身保険において、子が相続の放棄をした場合、当該死亡保険金については、死亡保険金の非課税金額の規定の適用を受けることができない。2022.5-46-1
    契約者(=保険料負担者)および被保険者を被相続人、死亡保険金受取人を被相続人の子とする終身保険契約において、子が相続の放棄をした場合であっても、当該死亡保険金については、死亡保険金の非課税金額の規定の適用を受けることができる。2021.9-48-1
    契約者(=保険料負担者)および被保険者を被相続人、死亡保険金受取人を被相続人の子とする終身保険契約において、子が死亡保険金のほかに、払戻しによる前納保険料を受け取った場合、当該前納保険料は相続税の課税対象となる。2021.9-48-2
    相続の放棄をした被相続人の配偶者が、契約者(=保険料負担者)および被保険者を被相続人とする生命保険契約の死亡保険金を受け取るなど、遺贈により取得した財産があるときは、本制度の適用を受けることができる。2017.9-47-3
    契約者(=保険料負担者)および被保険者を被相続人とする生命保険契約の死亡保険金受取人となっている相続人に対し、死亡保険金とともに支払われる積立配当金の額は、相続税の課税対象となり、死亡保険金の非課税金額の規定が適用される。2016.9-46-1
    契約者(=保険料負担者)および被保険者を被相続人とする生命保険契約の死亡保険金受取人となっている相続人が、遺産分割により死亡保険金以外の財産をいっさい取得しなかった場合、その者が受け取る当該保険金については、死亡保険金の非課税金額の規定は適用されない。2016.9-46-4
    契約者(=保険料負担者)および被保険者が被相続人である生命保険契約において、被相続人の子で相続の放棄をした者が受け取った死亡保険金は、保険金の非課税金額の規定の適用を受けることができない。2014.1-47-1
  2. 適切。前納保険料が残っている間に死亡した場合には、死亡保険金とともに返還されます。この前納保険料は、死亡保険金の一部としてみなし相続財産となり、死亡保険金との合算で「500万円×法定相続人の数」までが非課税となります。その他、生命保険契約に基づいて死亡によって受け取る配当金、割戻金についても本規定の適用対象となります(相基通3-8)。
    被相続人が契約者(=保険料負担者)および被保険者である生命保険において、死亡保険金の額から契約者貸付金の額が控除された保険金を相続人が受け取った場合、控除された契約者貸付金の額を当該保険金に加算した金額に相当する保険金を相続または遺贈により取得したものとみなされる。2023.9-46-4
    契約者(=保険料負担者)および被保険者が被相続人である生命保険契約において、被相続人の子が死亡保険金のほかに、払戻しによる前納保険料を受け取った場合、当該前納保険料は相続税の課税対象となる。2014.1-47-2
  3. [不適切]。みなし相続財産ではありません。被相続人に支給されるべきであった賞与が、相続開始後に支給された場合、本来の相続財産として相続税の課税対象となります(相基通3-32)。みなし相続財産ではありません。なお、この賞与は所得税では非課税になるため、源泉徴収の対象外となります。
    被相続人が受け取るべきであった給与が、被相続人の死亡日から10日後に支給された場合、その給与は本来の相続財産として相続税の課税対象となる。2024.1-44-2
  4. 適切。勤務先から弔慰金等を金銭で受け取る場合、死亡退職金とは別に相続税の非課税財産となり、次に掲げる金額まで相続税がかかりません(相基通3-20)。本肢は業務上の死亡なので、普通給与の3年分まで非課税となります。
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    被相続人の死亡が業務上の死亡でない場合に、相続人が被相続人の雇用主から受け取った弔慰金が被相続人の死亡当時の普通給与の6カ月分に相当する額以下であるときは、その全額が本規定の対象となる。2020.9-47-2
したがって不適切な記述は[3]です。