FP1級過去問題 2022年5月学科試験 問46

問46

相続税法上の相続財産等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 契約者(=保険料負担者)および被保険者を被相続人、死亡保険金受取人を被相続人の子とする終身保険において、子が相続の放棄をした場合、当該死亡保険金については、死亡保険金の非課税金額の規定の適用を受けることができない。
  2. 契約者(=保険料負担者)および被保険者を被相続人、死亡保険金受取人を被相続人の子とする終身保険において、死亡保険金とともに支払われる積立配当金は、相続税の課税対象となり、死亡保険金の非課税金額の規定が適用される。
  3. 被相続人の死亡により相続人に支給される退職手当金は、死亡後3年以内にその支給額が確定した場合であっても、実際の支給が死亡後3年を経過した場合、当該退職手当金は相続税の課税対象とはならず、当該相続人の一時所得の収入金額に該当する。
  4. 相続開始の年の5年前の1月1日前から私立(個人立)の幼稚園の事業を行っていた被相続人の死亡により、引き続きその事業を行う相続人が相続により取得した教育用財産については、事業経営者等の家事充当金および給与が相当と認められる金額を超えていないこと等の一定の要件を満たしている場合、相続税の課税価格に算入されない。

正解 3

問題難易度
肢117.0%
肢25.1%
肢365.7%
肢412.2%

解説

  1. 適切。死亡保険金の非課税金額の規定は、相続人が死亡保険金を取得した場合に適用されます。このため、相続を放棄した者には本規定の適用はありません。相続を放棄した者が受け取った死亡保険金は、本規定の適用上なかったものとされます(相基通12-8)。
    契約者(=保険料負担者)および被保険者を被相続人、死亡保険金受取人を被相続人の子とする終身保険契約において、子が相続の放棄をした場合であっても、当該死亡保険金については、死亡保険金の非課税金額の規定の適用を受けることができる。2021.9-48-1
    契約者(=保険料負担者)および被保険者を被相続人、死亡保険金受取人を被相続人の子とする終身保険契約において、子が死亡保険金のほかに、払戻しによる前納保険料を受け取った場合、当該前納保険料は相続税の課税対象となる。2021.9-48-2
    相続の放棄をした被相続人の配偶者が、契約者(=保険料負担者)および被保険者を被相続人とする生命保険契約の死亡保険金を受け取るなど、遺贈により取得した財産があるときは、本制度の適用を受けることができる。2017.9-47-3
    契約者(=保険料負担者)および被保険者を被相続人とする生命保険契約の死亡保険金受取人となっている相続人に対し、死亡保険金とともに支払われる積立配当金の額は、相続税の課税対象となり、死亡保険金の非課税金額の規定が適用される。2016.9-46-1
    契約者(=保険料負担者)および被保険者を被相続人とする生命保険契約の死亡保険金受取人となっている相続人が、遺産分割により死亡保険金以外の財産をいっさい取得しなかった場合、その者が受け取る当該保険金については、死亡保険金の非課税金額の規定は適用されない。2016.9-46-4
    契約者(=保険料負担者)および被保険者が被相続人である生命保険契約において、相続の放棄をした者が受け取った死亡保険金は、相続税の課税対象となる。2015.10-46-1
    契約者(=保険料負担者)および被保険者が被相続人である生命保険契約において、被相続人の子で相続の放棄をした者が受け取った死亡保険金は、保険金の非課税金額の規定の適用を受けることができない。2014.1-47-1
  2. 適切。死亡保険金とともに支払われる積立配当金の額は、みなし相続財産として相続税の課税対象になり、死亡保険金とあわせて非課税金額の規定の適用を受けることができます。その他、割戻金、前納保険料、未経過保険料についても本規定の適用対象となります(相基通3-8)。
  3. [不適切]。被相続人に支給されるべきであった退職手当金のうち、被相続人の死亡後3年以内に支給が確定したものについては、相続財産とみなされて相続税の課税対象となります。支給日が死亡後3年経過した後であっても、支給確定日が3年以内であれば相続税の課税対象となります(相基通3-30)。なお、死亡から3年を超えた後に支給が確定したものについては、遺族の一時所得として所得税の課税対象となります(所基通34-2)。
    被相続人が死亡し、被相続人に支給されるべきであった退職金の支給額が被相続人の死亡後3年以内に確定したが、3年経過した後に退職金が支給された場合、その退職金は相続税の課税対象とならない。2024.1-44-1
    被相続人の死亡により相続人に支給される退職手当金は、死亡後3年以内にその支給額が確定した場合、実際の支給が死亡後3年を経過した後であっても、当該退職手当金は相続税の課税対象となる。2021.9-48-3
    被相続人の死亡により相続人に支給される弔慰金は、被相続人の死亡が業務上の死亡である場合、退職手当金等に該当すると認められるものを除き、被相続人の死亡当時における普通給与の3年分に相当する金額までは相続税の課税対象とならない。2021.9-48-4
    被相続人の死亡により相続人に支給される退職手当金は、死亡後3年以内にその支給が確定した場合であっても、実際の支給が死亡後3年を経過すれば、相続税の課税対象とはならず、一時所得として所得税の課税対象となる。2014.1-47-3
    被相続人の死亡により相続人に支給される弔慰金は、被相続人の死亡が業務上の死亡である場合、被相続人の死亡当時における普通給与の3年分に相当する金額は、相続税の課税対象とならない。2014.1-47-4
  4. 適切。相続開始前5年前の1月1日前から行ってきた私立(個人立)の幼稚園等の運営事業を行っていた個人が死亡し、相続人が当該幼稚園等の運営事業を承継し、引き続き当該事業を営む場合、当該相続又は遺贈により取得した財産のうち教育用財産については、一定の要件を満たす場合に限り相続税法上の非課税財産となります(相続税法12条1項3号)。
したがって不適切な記述は[3]です。