FP1級過去問題 2016年9月学科試験 問36

問36

建築基準法における容積率に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 前面道路の幅員が12m未満である敷地に建築物を建築する場合、当該建築物の容積率は、都市計画において定められた数値と前面道路の幅員に一定の数値を乗じて得た数値のうち、いずれか高いほうの数値が上限となる。
  2. 建築物の敷地が容積率の数値の異なる2つの地域にわたる場合、当該建築物の容積率は、各地域の容積率の限度に各部分の面積の敷地面積に対する割合を乗じて得たものを合計した数値が上限となる。
  3. 建築基準法第42条2項の規定により道路の境界線とみなされる線と道路との間のいわゆるセットバック部分については、建物を建築することができないが、容積率の算定の基礎となる敷地面積に含めて計算することができる。
  4. 共同住宅の共用の廊下または階段の用に供する部分の床面積は、当該共同住宅の住宅の用途に供する部分の床面積の合計の3分の1を限度として、容積率の算定の基礎となる延べ面積に算入されない。

正解 2

問題難易度
肢14.9%
肢276.7%
肢35.6%
肢412.8%

解説

  1. 不適切。建築物の敷地の前面道路の幅員が12m未満の場合、容積率には次の2つのうち低い方が適用されます(建築基準法52条2項)。
    • 都市計画で定める容積率
    • 前面道路の幅員×法定乗数
    前面道路の幅員が15m未満である建築物の容積率は、都市計画で定められた数値および当該前面道路の幅員に10分の4または10分の6を乗じた数値以下でなければならない。2025.1-37-2
    準住居地域において、前面道路の幅員が12m未満である建築物の容積率は、都市計画で定められた数値と当該前面道路の幅員に10分の6(特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域内は10分の8)を乗じた数値のいずれか少ない数値以下でなければならない。2021.9-36-1
    前面道路の幅員が15m未満である建築物の容積率は、都市計画で定められた数値および当該前面道路の幅員に10分の4または10分の6を乗じた数値以下でなければならない。2019.5-36-4
    前面道路の幅員が15m未満である建築物の容積率は、都市計画で定められた数値および当該前面道路の幅員に10分の4または10分の6を乗じた数値以下でなければならない。2016.1-36-3
  2. [適切]。建築物の敷地が容積率の異なる2つ以上の地域にわたる場合、その容積率は、それぞれの地域の容積率を各面積割合で加重平均した値になります(建築基準法52条7項)。
    建築物の敷地が建ぺい率の数値の異なる2つの地域にわたる場合は、各地域の建ぺい率の限度に各部分の面積の敷地面積に対する割合を乗じたものを合計した数値が、当該建築物の建ぺい率の限度となる。2016.1-36-2
    建築物の敷地が建ぺい率の限度の異なる2つの用途地域にわたる場合、当該建築物の建ぺい率の限度は、各用途地域の建ぺい率の限度に各用途地域の面積の敷地面積に対する割合を乗じたものを合計した数値となる。2014.1-39-2
  3. 不適切。セットバックによって後退した部分は、法律上「道路」とみなされます。そのため、建蔽率や容積率を算定する際の敷地面積に含めることはできません(建築基準法令2条1項1号)。
    建築基準法第42条第2項の規定により道路の境界線とみなされる線と道との間の部分の敷地(セットバック部分)については、建築物を建築することはできないが、建築物の容積率の算定の基礎となる敷地面積に含めることができる。2025.1-37-1
    建築基準法42条2項の規定により道路の境界線とみなされる線と道路との間のいわゆるセットバック部分については、建物を建築することができないが、建ぺい率、容積率の算定の際の敷地面積に含めて計算することができる。2015.1-38-3
    建築基準法42条2項の規定により道路の境界線とみなされる線と道路との間のいわゆるセットバック部分は、建ぺい率、容積率の算定の際に敷地面積に算入されない。2014.9-38-1
  4. 不適切。3分の1ではありません。昇降機(エレベーター)の昇降路部分、共同住宅や老人ホームで共用する廊下・階段については、その床面積すべてを容積率の算定基礎となる延べ面積に算入しません(建築基準法52条3項)。
    共同住宅の共用の廊下または階段の用に供する部分の床面積は、原則として、その敷地内の建築物の各階の床面積の合計の3分の1を限度として、建築物の容積率の算定の基礎となる延べ面積に算入しない。2025.1-37-4
    共同住宅の共用の廊下や階段の用に供する部分の床面積は、原則として、建築物の容積率の算定の基礎となる延べ面積に算入する。2021.9-36-3
    共同住宅の共用の廊下や階段の用に供する部分の床面積は、建築物の容積率の算定の基礎となる延べ面積に算入しない。2019.5-36-1
したがって適切な記述は[2]です。