FP1級過去問題 2019年5月学科試験 問44(改題)

問44

贈与税の申告および納付に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 相続時精算課税適用者が、その特定贈与者から新たに贈与を受けた場合、その特定贈与者に係る1年間の贈与税の課税価格の合計額が基礎控除額を超える場合には、贈与税の申告書を提出しなければならない。
  2. 贈与税の申告書の提出後、課税価格や税額の計算に誤りがあり、申告した税額が過大であることが判明した場合、原則として、法定申告期限から5年以内に限り、更正の請求をすることができる。
  3. 財産を贈与した者は、当該贈与により財産を取得した者のその年分の贈与税額のうち、贈与した財産の価額に対応する部分の金額について、当該財産の価額に相当する金額を限度として、連帯納付義務がある。
  4. 贈与税の延納は、最長5年以内であり、延納税額が100万円超または延納期間が3年超である場合には、延納の許可を受けるにあたって担保を提供しなければならない。

正解 2

問題難易度
肢17.2%
肢266.2%
肢311.4%
肢415.2%

解説

  1. 適切。相続時精算課税にも、暦年課税とは別枠で年間110万円の基礎控除があります。特定贈与者からの贈与が年間110万円以下であれば、暦年課税と同様に贈与税の申告書を提出する必要はありませんが、超える場合には申告が必要です。
    相続時精算課税適用者が、同一年中に複数の特定贈与者からそれぞれ200万円の贈与を受けた場合、特定贈与者ごとの贈与財産に係る贈与税の課税価格から相続時精算課税に係る基礎控除額としてそれぞれ110万円が控除される。2024.9-43-1
    相続時精算課税適用者が、その特定贈与者から新たに贈与を受けた場合、その特定贈与者に係る1年間の贈与税の課税価格の合計額が基礎控除額を超える場合には、贈与税の申告書を提出しなければならない。2021.9-43-2
    相続時精算課税適用者が、その特定贈与者から新たに贈与を受けた場合、特定贈与者から贈与により取得した財産の価額が基礎控除額以下であり、その他に贈与を受けていないときは、その年分の贈与税の申告書を提出する必要はない。2018.9-42-1
    養親から相続時精算課税を適用して贈与を受けた養子が、養子縁組の解消により、その特定贈与者の養子でなくなった場合においても、養子縁組解消後にその特定贈与者からの贈与により取得した財産については、相続時精算課税が適用される。2018.9-42-2
  2. [不適切]。5年ではありません。贈与税の申告書を提出した後に申告した税額が過大であることが判明した場合、原則として、法定申告期限から6年以内であれば、更正の請求をすることができます。所得税、法人税および相続税は5年ですが、贈与税だけは6年ですので注意しましょう。
    贈与税の申告書の提出後、課税価格や税額の計算に誤りがあり、申告した税額が過大であることが判明した場合、原則として、法定申告期限から5年以内に限り、更正の請求をすることができる。2022.9-43-4
    贈与税の申告書の提出後、課税価格や税額の計算に誤りがあり、申告した税額が過大であることが判明した場合、原則として、法定申告期限から6年以内に限り、更正の請求をすることができる。2022.1-44-3
    贈与税の申告書の提出後、申告した税額が過大であることが判明した場合、原則として、法定申告期限から5年以内に限り、更正の請求をすることができる。2016.9-42-2
    2024年分の贈与税の申告書の提出後、申告した税額が過大であることが判明した場合、原則として法定申告期限から6年以内に限り、更正の請求をすることができる。2014.9-42-4
  3. 適切。贈与税は受贈者に納付義務がありますが、贈与者にも贈与した財産の価額に相当する金額を限度として「連帯納付義務」があります。このため、受贈者が贈与税を納付しなかったときは、贈与者がその贈与税を納付しなければなりません。なお、相続税における共同相続人の間にも連帯納付義務があります。
    受贈者が贈与税を納付していない場合、贈与者は、贈与した財産の価額に対応する贈与税部分について、当該贈与財産の価額に相当する金額を限度として連帯して納付しなければならない。2016.9-42-4
  4. 適切。贈与税は最長で5年の延納が認められていますが、延納期間が3年超または延納税額が100万円を超える場合は、担保を提供しなければなりません。
    贈与税の延納の許可を受けるにあたり、延納税額が200万円以下で、かつ、その延納期間が3年以下であるときは、担保を提供する必要はない。2022.9-43-3
したがって不適切な記述は[2]です。