FP1級過去問題 2022年1月学科試験 問30

問30

法人税における貸倒損失の取扱いに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、各選択肢において、ほかに必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。
  1. 取引先A社に対して、貸付金1,000万円を有している。A社について会社更生法の更生計画認可の決定により切り捨てられることとなった部分の金額は、貸倒損失としてその事業年度の損金の額に算入される。
  2. 取引先B社に対して、貸付金1,000万円を有しているが、B社の資産状況、支払能力等からその全額が回収できないことが明らかとなった。当該金銭債権については抵当権500万円が設定されているため、その抵当権が実行された後でなければ、貸倒損失として損金経理をすることはできない。
  3. 継続的な取引を行っていた取引先C社に対して、貸付金500万円を有しているが、C社の支払能力が悪化し、貸付金の弁済がなされないまま、取引を停止してから1年以上が経過した。この場合、貸付金の額から備忘価額を控除した残額が貸倒損失としてその事業年度の損金の額に算入される。
  4. 遠方のX市内に所在する取引先D社と取引先E社の売掛債権について、D社は5万円、E社は2万円の残高があるが、支払を督促しても弁済がなされず、取立てのために要する旅費等が10万円程度かかると見込まれる。この場合、取引先ごとの売掛債権の額から備忘価額を控除した残額を貸倒損失として損金経理することができる。

正解 3

問題難易度
肢112.4%
肢210.8%
肢363.6%
肢413.2%

解説

法人税の計算において貸倒損失を計上できるのは、下記に該当する場合に限られています(法基通9-6)。
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  1. 適切。会社更生法、会社法、民事再生法その他法令の規定により切り捨てられた部分の金額は、貸倒損失としてその事実が生じた事業年度の損金の額に算入されます。
  2. 適切。債務者の資産状況、支払能力等からみてその全額が回収できないことが明らかとなった金銭債権は、貸倒損失として損金経理をすることができます。ただし、抵当権等や譲渡担保などの担保物がある場合は、その担保物を処分した後でなければ貸倒損失として損金経理をすることはできません。
    取引先C社に対して貸付金600万円を有しているが、C社の資産状況、支払能力等からみてその全額が回収できないことが明らかとなった。この貸付金に係る担保物がある場合、貸付金600万円から担保物の処分可能見込額を控除した残額が貸倒損失として認められる。2021.5-32-3
    取引先D社に対して貸付金600万円を有しているが、D社の資産状況、支払能力等からその全額が回収できないことが明らかとなった。この貸付金に係る担保物がある場合、貸付金600万円から担保物の処分可能見込額を控除した残額が貸倒損失として認められる。2019.1-32-4
    取引先への貸付金について、取引先の資産状況、支払能力等からその全額が回収できないことが明らかとなった場合に、当該貸付金に係る担保物があるときには、当該貸付金から担保物の処分可能見込額を控除した残額が貸倒損失として認められる。2016.9-32-b
    取引先B社に対して手形債権600万円を有しているが、B社の資産状況、支払能力等からその全額が回収できないことが明らかとなった。B社の所有不動産に対して抵当権200万円が設定されているため、手形債権600万円から抵当権200万円を控除した残額が貸倒損失として認められる。2015.10-30-2
  3. [不適切]。取引停止後のケースでは貸付金は対象外です。継続的な取引を行っていた取引先の支払能力が悪化し、取引を停止してから1年以上が経過した場合、その取引先に対する売掛債権は、備忘価額を控除した残額が貸倒損失としてその事業年度の損金の額に算入することができます。貸付金は、相手方の資力からみて全額が回収不能となった場合に貸倒損失の対象となります。
    取引先X社に対して有している貸付金400万円について、X社との取引を停止した時以後1年以上経過した場合、当該貸付金の額から備忘価額を控除した残額を貸倒れとして損金経理をすることができる。2023.9-32-3
    継続的な取引を行っていた取引先C社に対して貸付金400万円を有しているが、C社の資産状況、支払能力等が悪化したためにC社との取引を停止し、貸付金の回収ができないまま取引を停止してから1年以上が経過した。この場合、貸付金400万円から備忘価額を控除した残額が貸倒損失として認められる。2019.1-32-3
    継続的な取引を行っていた取引先C社に対して貸付金200万円を有しているが、C社の資産状況、支払能力等が悪化したためにC社との取引を停止し、貸付金の回収ができないまま取引を停止してから1年以上が経過した。この場合、貸付金200万円から備忘価額を控除した残額が貸倒損失として認められる。2015.10-30-3
  4. 適切。同一地域に所在する債務者に対する売掛債権の額よりもその取立て等に要する費用のほうが多く、支払を督促しても弁済がなされない場合は、取引先ごとの売掛債権の額から備忘価額1円を控除した残額を貸倒損失として損金経理することができます。本肢は売掛債権7万円<取立費用10万円なので、貸倒損失として計上することが可能です。
    遠方にある取引先B社に対して売掛金5万円を有しているが、再三支払の督促をしても弁済がなされず、また取立てに要する旅費等が10万円程度かかると見込まれ、同一地域に他の債務者はいない。この場合、売掛金5万円の全額が貸倒損失として認められる。2019.1-32-2
    遠方にある取引先D社に対して売掛金5万円を有しているが、再三支払の督促をしても弁済がなされず、また取立てに要する旅費等が10万円程度かかると見込まれ、同一地域に他の債務者はいない。この場合、売掛金5万円の全額が貸倒損失として認められる。2015.10-30-4
したがって不適切な記述は[3]です。