FP1級過去問題 2025年1月学科試験 問47

問47

個人が相続または贈与により取得した金融資産の相続税評価に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 相続により取得した個人向け国債の価額は、その他の利付公社債の評価方法とは異なり、常に額面金額によって評価する。
  2. 負担付贈与により取得した上場株式の価額は、原則として、その株式が上場されている金融商品取引所の公表する課税時期の最終価格または課税時期の属する月以前3カ月間の毎日の最終価格の各月ごとの平均額のうち、最も低い価額によって評価する。
  3. 相続開始時に保険事故がまだ発生していない生命保険契約に関する権利の価額は、原則として、相続開始時における既払込保険料相当額によって評価する。
  4. 被相続人が自宅の金庫で保管していた外貨(現金)の邦貨換算は、原則として、相続人の取引金融機関が公表する課税時期における最終の対顧客直物電信買相場(TTB)またはこれに準ずる相場による。

正解 4

問題難易度
肢17.2%
肢228.0%
肢38.5%
肢456.3%

解説

  1. 不適切。個人向け国債は、課税時期において中途換金した場合に取扱機関から支払いを受けることができる価額(額面金額+経過利子相当額-中途換金調整額)により評価されます(財評通197-2)。
  2. 不適切。負担付贈与や個人間の取引で取得した上場株式の価額は、課税時期の最終価格により評価します。それ以外の上場株式の相続税評価額は、課税時期の最終価格または課税時期の属する月以前3カ月間の毎日の最終価格の各月の平均額のうち、最も低い価額によって評価をします(財評通169)。
    金融商品取引所に上場されている不動産投資法人の投資証券の価額は、原則として、課税時期の最終価格、課税時期の属する月以前3カ月間の毎日の最終価格の各月ごとの平均額のうち最も低い価額によって評価する。2023.5-48-2
    国内の2以上の金融商品取引所に上場されている株式は、原則として、各金融商品取引所の公表する課税時期の最終価格のうち、最も高い価額によって評価する。2020.1-48-1
    金融商品取引所に上場されている不動産投資法人の投資証券の価額は、原則として、課税時期の最終価格または課税時期の属する月以前3カ月間の毎日の最終価格の各月ごとの平均額のうち最も低い価額によって評価する。2018.9-47-4
    国内の2以上の金融商品取引所に上場されている株式は、原則として、納税義務者が選択した金融商品取引所の公表する課税時期の最終価格または課税時期の属する月以前3カ月間の毎日の最終価格の各月ごとの平均額のうち最も低い価額によって評価する。2017.1-48-2
    金融商品取引所に上場されている株式は、原則として上場されている金融商品取引所の公表する課税時期の最終価格、または課税時期の属する月以前3カ月間の毎日の最終価格の各月ごとの平均額のうち最も低い価額によって評価する。2015.1-48-1
  3. 不適切。相続開始時に、まだ保険事故が発生していない生命保険契約に関する権利の価額は、相続開始時に生命保険を解約した場合に受け取ることのできる解約返戻金の額によって評価します。既払込保険料や保険金の額ではないので注意しましょう(財評通214)。
  4. [適切]。相続税評価額の計算において外貨資産は円貨に換算して評価します。外貨⇒円貨のレートはTTBなので、原則として、相続開始日における最終の対顧客直物電信買相場(TTB)またはこれに準ずる相場で邦貨換算します(財評通4-3)。
    被相続人が自宅の金庫で保管していた外貨(現金)の邦貨換算は、原則として、相続開始の日における相続人の取引金融機関が公表する最終の対顧客直物電信買相場(TTB)またはこれに準ずる相場による。2022.1-49-3
したがって適切な記述は[4]です。