不動産の相続対策(全14問中4問目)

No.4

「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」(以下、「本特例」という)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、各選択肢において、ほかに必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。
2020年9月試験 問49
  1. 被相続人の事業の用に供されていた宅地を被相続人の配偶者が相続により取得した場合、その配偶者が当該宅地を相続税の申告期限までに売却したとしても、当該宅地は特定事業用宅地等として本特例の適用を受けることができる。
  2. 被相続人の居住の用に供されていた宅地を被相続人の親族でない者が遺贈により取得した場合、その者が相続開始の直前において被相続人と同居していたときは、当該宅地は特定居住用宅地等として本特例の適用を受けることができる。
  3. 被相続人が発行済株式総数の全部を有する法人の事業の用に供されていた宅地を被相続人の親族が相続により取得した場合、その親族が相続開始の直前において当該法人の役員でなければ、当該宅地は特定同族会社事業用宅地等として本特例の適用を受けることはできない。
  4. 被相続人の貸付の用に供されていた宅地を被相続人の親族が相続により取得した場合、その宅地が建物または構築物の敷地の用に供されているものでなければ、当該宅地は貸付事業用宅地等として本特例の適用を受けることはできない。

正解 4

問題難易度
肢125.0%
肢217.1%
肢315.3%
肢442.6%

解説

  1. 不適切。特定事業用宅地等の取得者の要件は以下の通りです。
    49_1.png./image-size:521×165
    特定居住用宅地等の要件と異なり、配偶者であっても保有継続要件があるので、相続税の申告期限までに売却した場合には適用を受けられません。
    被相続人であるAさんの居住の用に供されていた宅地を、相続開始の直前においてAさんと同居していたAさんの子Bさんが相続により取得した場合、子Bさんが相続開始前3年以内に子Bさんまたは子Bさんの配偶者の所有する家屋に居住したことがあったとしても、当該宅地は特定居住用宅地等として本特例の適用を受けることができる。2022.9-49-1
    被相続人の居住の用に供されていた宅地を被相続人の親族でない者が遺贈により取得した場合、その者が被相続人と同居していた等の所定の要件を満たせば、当該宅地は特定居住用宅地等として本特例の適用を受けることができる。2021.9-49-2
    被相続人の居住の用に供されていた宅地を被相続人と同居していた被相続人の子が相続により取得した場合であっても、その子が相続開始前3年以内に国内にあるその者またはその者の配偶者の所有する家屋に居住したことがあれば、当該宅地は特定居住用宅地等として本特例の適用を受けることはできない。2021.9-49-3
    被相続人の居住の用に供されていた宅地を被相続人の親族でない者が遺贈により取得した場合、その者が相続開始の直前において被相続人と同居していたときは、当該宅地は特定居住用宅地等として本特例の適用を受けることができる。2020.9-49-2
    被相続人の貸付の用に供されていた宅地を被相続人の親族が相続により取得した場合、その宅地が建物または構築物の敷地の用に供されているものでなければ、当該宅地は貸付事業用宅地等として本特例の適用を受けることはできない。2020.9-49-4
    被相続人の居住の用に供されていた宅地を被相続人の配偶者が相続により取得した場合、配偶者が当該宅地を相続税の申告期限までに売却したとしても、当該宅地は特定居住用宅地等として本特例の適用を受けることができる。2018.1-49-2
    被相続人の居住の用に供されていた宅地を被相続人の子が相続により取得した場合、その子が相続の開始の直前において被相続人と同居していなければ、当該宅地は特定居住用宅地等として本特例の適用を受けることはできない。2018.1-49-3
    被相続人の居住の用に供されていた宅地を被相続人と同居していた長男が相続により取得し、長男が相続税の申告期限までに当該宅地を売却した場合、「特定居住用宅地等」として本特例の適用を受けることができない。2014.9-49-2
    被相続人の事業の用に供されていた宅地を配偶者が相続により取得し、その配偶者が相続税の申告期限まで事業を継続しなかった、あるいは当該宅地を売却した場合、当該宅地は「特定事業用宅地等」として本特例の適用を受けることができない。2014.1-49-2
  2. 不適切。特定居住用宅地の取得者ごとの要件は以下のようになっています。
    49_2.png./image-size:443×240
    配偶者や親族以外が取得した場合には本特例の適用を受けることはできません。
    被相続人であるAさんの居住の用に供されていた宅地を、相続開始の直前においてAさんと同居していたAさんの子Bさんが相続により取得した場合、子Bさんが相続開始前3年以内に子Bさんまたは子Bさんの配偶者の所有する家屋に居住したことがあったとしても、当該宅地は特定居住用宅地等として本特例の適用を受けることができる。2022.9-49-1
    被相続人の居住の用に供されていた宅地を被相続人の親族でない者が遺贈により取得した場合、その者が被相続人と同居していた等の所定の要件を満たせば、当該宅地は特定居住用宅地等として本特例の適用を受けることができる。2021.9-49-2
    被相続人の居住の用に供されていた宅地を被相続人と同居していた被相続人の子が相続により取得した場合であっても、その子が相続開始前3年以内に国内にあるその者またはその者の配偶者の所有する家屋に居住したことがあれば、当該宅地は特定居住用宅地等として本特例の適用を受けることはできない。2021.9-49-3
    被相続人の事業の用に供されていた宅地を被相続人の配偶者が相続により取得した場合、その配偶者が当該宅地を相続税の申告期限までに売却したとしても、当該宅地は特定事業用宅地等として本特例の適用を受けることができる。2020.9-49-1
    被相続人の貸付の用に供されていた宅地を被相続人の親族が相続により取得した場合、その宅地が建物または構築物の敷地の用に供されているものでなければ、当該宅地は貸付事業用宅地等として本特例の適用を受けることはできない。2020.9-49-4
    被相続人の居住の用に供されていた宅地を被相続人の配偶者が相続により取得した場合、配偶者が当該宅地を相続税の申告期限までに売却したとしても、当該宅地は特定居住用宅地等として本特例の適用を受けることができる。2018.1-49-2
    被相続人の居住の用に供されていた宅地を被相続人の子が相続により取得した場合、その子が相続の開始の直前において被相続人と同居していなければ、当該宅地は特定居住用宅地等として本特例の適用を受けることはできない。2018.1-49-3
    被相続人の居住の用に供されていた宅地を被相続人と同居していた長男が相続により取得し、長男が相続税の申告期限までに当該宅地を売却した場合、「特定居住用宅地等」として本特例の適用を受けることができない。2014.9-49-2
    被相続人の事業の用に供されていた宅地を配偶者が相続により取得し、その配偶者が相続税の申告期限まで事業を継続しなかった、あるいは当該宅地を売却した場合、当該宅地は「特定事業用宅地等」として本特例の適用を受けることができない。2014.1-49-2
  3. 不適切。特定同族会社事業用宅地等の取得者の要件は以下の通りです。
    49_3.png./image-size:521×136
    取得者は被相続人の親族であり、相続税の申告期限時点で当該法人の役員である必要がありますが、相続開始の直前において役員であることは要求されません。すなわち、役員でなかったものが事業承継して役員になったケースでも本特例の適用を受けることができます。
    被相続人であるCさんの居住の用に供されていた宅地を、相続開始直前においてCさんと同居していた内縁の妻Dさんが遺贈により取得した場合、当該宅地は特定居住用宅地等として本特例の適用を受けることができない。2022.9-49-2
    被相続人の居住の用に供されていた宅地について、配偶者居住権を設定し、被相続人と同居していた配偶者が配偶者居住権に基づく敷地利用権を、同じく同居していた子がその敷地所有権を相続により取得した場合、敷地利用権と敷地所有権の双方について、特定居住用宅地等として本特例の適用を受けることができる。2021.9-49-4
    被相続人の事業の用に供されていた宅地(不動産の貸付け等を除く)を配偶者が相続により取得し、その配偶者が当該事業を相続税の申告期限までに承継せず、かつ、営んでいない場合、当該宅地は「特定事業用宅地等」として本特例の適用を受けることができない。2015.1-49-2
    被相続人の居住の用に供されていた宅地を配偶者が相続により取得し、その配偶者が相続税の申告期限まで居住を継続しなかった、あるいは当該宅地を売却した場合でも、当該宅地は「特定居住用宅地等」として本特例の適用を受けることができる。2015.1-49-4
    被相続人の居住の用に供されていた宅地を配偶者が相続により取得し、その配偶者が相続税の申告期限まで居住を継続しなかった、あるいは当該宅地を売却した場合でも、当該宅地は「特定居住用宅地等」として本特例の適用を受けることができる。2014.1-49-1
  4. [適切]。小規模宅地等の評価減の特例の適用を受けるには、建物または構築物の敷地として使用されている宅地でなければなりません。これは、貸付事業用宅地等にかかわらず、どの区分の適用を受ける場合でも同様です。
    被相続人であるAさんの居住の用に供されていた宅地を、相続開始の直前においてAさんと同居していたAさんの子Bさんが相続により取得した場合、子Bさんが相続開始前3年以内に子Bさんまたは子Bさんの配偶者の所有する家屋に居住したことがあったとしても、当該宅地は特定居住用宅地等として本特例の適用を受けることができる。2022.9-49-1
    被相続人の居住の用に供されていた宅地を被相続人の親族でない者が遺贈により取得した場合、その者が被相続人と同居していた等の所定の要件を満たせば、当該宅地は特定居住用宅地等として本特例の適用を受けることができる。2021.9-49-2
    被相続人の居住の用に供されていた宅地を被相続人と同居していた被相続人の子が相続により取得した場合であっても、その子が相続開始前3年以内に国内にあるその者またはその者の配偶者の所有する家屋に居住したことがあれば、当該宅地は特定居住用宅地等として本特例の適用を受けることはできない。2021.9-49-3
    被相続人の事業の用に供されていた宅地を被相続人の配偶者が相続により取得した場合、その配偶者が当該宅地を相続税の申告期限までに売却したとしても、当該宅地は特定事業用宅地等として本特例の適用を受けることができる。2020.9-49-1
    被相続人の居住の用に供されていた宅地を被相続人の親族でない者が遺贈により取得した場合、その者が相続開始の直前において被相続人と同居していたときは、当該宅地は特定居住用宅地等として本特例の適用を受けることができる。2020.9-49-2
    被相続人の居住の用に供されていた宅地を被相続人の配偶者が相続により取得した場合、配偶者が当該宅地を相続税の申告期限までに売却したとしても、当該宅地は特定居住用宅地等として本特例の適用を受けることができる。2018.1-49-2
    被相続人の居住の用に供されていた宅地を被相続人の子が相続により取得した場合、その子が相続の開始の直前において被相続人と同居していなければ、当該宅地は特定居住用宅地等として本特例の適用を受けることはできない。2018.1-49-3
    被相続人の居住の用に供されていた宅地を被相続人と同居していた長男が相続により取得し、長男が相続税の申告期限までに当該宅地を売却した場合、「特定居住用宅地等」として本特例の適用を受けることができない。2014.9-49-2
    被相続人の事業の用に供されていた宅地を配偶者が相続により取得し、その配偶者が相続税の申告期限まで事業を継続しなかった、あるいは当該宅地を売却した場合、当該宅地は「特定事業用宅地等」として本特例の適用を受けることができない。2014.1-49-2
したがって適切な記述は[4]です。