FP1級過去問題 2020年9月学科試験 問42

問42

贈与税の配偶者控除に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、各選択肢において、贈与の年においてほかに贈与された財産はなく、ほかに必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。
  1. 夫が所有する土地の上にあって子が所有する二世帯住宅でその子と同居している夫妻において、妻が夫から当該土地の贈与を受けた場合、贈与税の配偶者控除の適用を受けることができる。
  2. 夫が保険料を負担していた生命保険契約に基づき、贈与税の課税対象となる保険金を受け取った妻が、その保険金により居住用不動産を取得した場合、贈与税の配偶者控除の適用を受けることができる。
  3. 夫から現金1,800万円の贈与を受けた妻が、自己資金500万円を加えた資金により、2,000万円の居住用不動産と300万円の自動車を同時に取得し、贈与税の配偶者控除の適用を受けた場合、贈与税額は算出されない。
  4. 妻が夫から相続税評価額が3,000万円である店舗併用住宅(店舗用部分60%、居住用部分40%)の2分の1の持分の贈与を受け、贈与税の配偶者控除の適用を受けた場合、贈与税額は790万円に所定の税率を乗じた金額となる。

正解 4

問題難易度
肢14.0%
肢210.3%
肢317.4%
肢468.3%

解説

  1. 適切。贈与税の配偶者控除の対象となる居住用不動産は、専ら居住の用に供する土地若しくは土地の上に存する権利又は家屋で国内にあるものをいいます。夫から配偶者が居住するための土地のみの贈与を受けた場合でも、贈与税の配偶者控除の適用を受けることができます。
  2. 適切。契約者が夫で、満期保険金受取人が妻であるなどの生命保険契約で、妻が受け取った保険金で居住用不動産を取得した場合も、贈与により取得した金銭に含まれるとされています。よって、贈与税の配偶者控除の適用を受けることができます。
  3. 適切。贈与税の配偶者控除では、居住用不動産のみならず居住用不動産を取得するための金銭の贈与にも適用されます。贈与税の配偶者控除の控除額は最高で2,000万円なので、夫から贈与を受けた1,800万円全額が非課税となります。500万円は自己資金ですから、贈与税の配偶者控除の適用を受ければ、贈与税額は算出されません。
  4. [不適切]。店舗併用住宅の持分の贈与を受けた場合、居住用部分から優先的に贈与を受けたものとして計算します。贈与を受けたのは2分の1の持分ですから、店舗併用住宅のうち居住用部分40%+店舗部分10%の贈与を受けたものとされます。
    受贈額のうち、居住用部分の価額は「3,000万円×40%=1,200万円」、店舗用部分の価額は「3,000万円×10%=300万円」となり、居住用部分は贈与税の配偶者控除の適用により算出贈与税額は0円、店舗用部分の価額から暦年課税の基礎控除を差し引いた「300万円-110万円=190万円」について贈与税が課されることになります。
    ※併用部分がある場合はもう少し複雑な計算が必要ですが、FP検定では出題されないのでこれで覚えておけば十分です。
したがって不適切な記述は[4]です。